国内初・雷放電経路3次元観測システムによる雷の試験観測を首都圏で開始
~6/16茨城と8/19世田谷での顕著な観測結果を公開~

平成29年10月19日
国立研究開発法人防災科学技術研究所
国立研究開発法人科学技術振興機構

国立研究開発法人防災科学技術研究所(理事長: 林春男) は、雷危険度予測手法の研究開発を推進するため、雷放電経路3次元観測システムによる雷の試験観測を開始しました。

雷放電経路3次元観測システムは、地面に対する放電である落雷だけでなく雲内や雲間の放電(雲放電)観測にも優れたLightning Mapping Array(LMA)による観測システムです。本システムの優位性を示す顕著な事例として、北関東各地で激しい雷雨となった平成29年6月16日の茨城県南部の観測結果と、花火大会が中止された平成29年8月19日の世田谷区周辺の観測結果を公開します。

今後は、Xバンドマルチパラメータ(MP)レーダー等のデータとの比較解析により、雷危険度予測手法の研究開発を進めます。また、得られたデータを活用して研究機関や民間企業との共同研究を行い、雷発生メカニズムの解明や危険度予測手法の社会実装を目指します。

プレス発表資料 [PDF/1.1MB]

補足資料(時間変化の動画)

平成29(2017)年6月16日日本時間13時00分から20時09分(世界標準時04時00分から11時09分)の約7時間に、LMAで決定された雷放電点数(点/km2)の分布の時間変化。10分間の雷放電点数(右上の数字ptsが点数)を1分ずつずらしながら表示しています。
左下図が地面に投影した水平分布、上図が南北方向に投影した高度断面図、右図が東西方向に投影した高度断面図を示しています。距離と高度の単位はkm、水平分布図中の緑の四角はLMA設置点の位置です。

平成29(2017)年6月16日日本時間17時11分の高度5.5km付近の最初の放電から地面に達する(落雷)までの約90ms(9/100秒)の雷放電経路と雷雲のレーダー反射因子の3次元分布。赤色の四角の範囲の雷放電経路と雷雲を抜き出して表示しています。LMAで決定された雷放電位置を橙色の球で、落雷位置を黄色の稲妻印で示しました。
レーダー反射因子は日本無線株式会社から提供いただいたフェーズドアレイレーダーのデータを可視化したもので、白・青・紫色の等値面は、それぞれ30 dBZ、40 dBZ、50 dBZ のレーダー反射因子(降雨強度換算でそれぞれ約3mm/時、12mm/時、50mm/時)を示します。参考のため、落雷位置は、気象庁の雷データ(LIDEN)の情報も参照しました。図中の矢印は高度10kmの高さを示すスケールです。地図情報は国土地理院地図(色別標高図)を利用しました。

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