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村上研究員がクリタ水・環境科学研究優秀賞を受賞

水・土砂防災研究部の村上智一研究員がクリタ水・環境科学研究優秀賞を受賞し、8月27日に京王プラザホテルにおいて授賞式が行われました。

研究内容および成果

今世紀半ばには確実視されている地球温暖化を見据え、その影響が顕著に表れる内湾などの沿岸域を対象に、防災面および水環境面での対応策を総合的に提示することを研究目的としている。

温暖化時には、台風の強大化や豪雨の発生増加が予測されている。このような激しい気象擾乱は、高潮や高波などによる災害を引き起こすのみならず、沿岸域の 水質環境を一変させるため、それを精度良く計算できる数値モデルの開発は、将来の沿岸防災や水環境の予測・対策に必要とされている。この要求を満たすこと のできる数値モデルの開発を目指し、研究助成「大気海洋結合型の伊勢・三河湾貧酸素水塊モニタリングシステムの開発」によって開発した大気-海洋-波浪結 合モデルを改良・発展させ、台風や豪雨時においてその精度検証を行うとともに、激しい気象擾乱下での沿岸域の海水流動・密度・水質構造を明らかにした。そ の具体的な研究内容および成果を以下に示す。

1.台風および豪雨時の伊勢湾の水質・流動・密度構造の解析

伊勢湾に接近した台風0423号および過去最大級の出水を引き起こした東海豪雨を事例とし、大気-海洋-波浪結合モデルを用いて再現を行った。そして、精 度検証を行い、結合モデルは、従来のモデルでは高精度計算が不可能な激しい気性擾乱下での気象・海象現象を精度良く計算できることを実証した。また、これ らの計算結果を解析し、台風直下における伊勢湾の海水流動・密度構造の変化過程を明らかにするとともに、豪雨時の海水流動・密度・水質構造を示した。

2.高潮・高波の高精度計算

台風に伴う高潮・高波は、沿岸域の海水流動・密度・水質構造に大きな影響を与える。そのため、高潮・高波の高精度計算は、台風時の海水流動・密度・水質構 造の解析を行う際の課題となっている。そこで、過去に発生した高潮・高波を事例とし、結合モデルを用いて再現を行い、精度検証を実施した。その結果、結合 モデルは高潮・高波を高精度に計算できることが実証された。

3.台風の高精度計算手法の開発

台風時の数値計算では、台風強度および進路の高精度計算が大きな課題となる。そこで、結合モデルに適用できる4次元台風ボーガス同化手法を開発し、これを結合モデルに組み込むことで台風を正しく計算できるようにした。

クリタ水・環境科学研究優秀賞

関連情報

クリタ水・環境科学研究優秀賞

公益財団法人クリタ水・環境科学振興財団では、助成研究者との交流を中心とした水・環境ネットワークの構築および助成研究者のその後のフォローの一環とし て『クリタ水・環境科学研究優秀賞』を設け、研究成果、論文発表、社会貢献活動等において顕著な成果をあげておられる研究者を選出し、表彰しています。

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村上智一・吉野 純・安田孝志・飯塚 聡・下川信也・青木伸一 (2010)
4次元台風ボーガス同化を用いた台風0918号直下の伊勢・三河湾の高潮シミュレーション,海洋開発論文集,第26巻,pp.453-458.

村上智一・川崎浩司 (2009)
台風0423号下における伊勢湾の海水流動・密度構造の変化過程,海洋開発論文集,第25巻,pp.1299-1304.

村上智一・吉野 純・安田孝志 (2009)
強風時海面下に形成される非対数則層のレイノルズ応力のモデル化,海岸工学論文集,第56巻,pp.86-90.

Murakami, T. and T. Yasuda (2008)
Bursting-Layer Modeling Based on the Assumption of the Averaged Sea Surface for Strong-Wind Driven Currents, Journal of Physical Oceanography, Volume 38, Issue 4, pp.896-908.

村上智一・安田孝志・吉野 純 (2007)
気象モデルおよび多重σ座標系海洋モデルを用いた台風0416号による広域高潮の再現,土木学会論文集B,Vol.63,No.4,pp.282-290.

村上智一・川崎浩司・大久保陽介・金 鎭勲(2007)
東海豪雨時における伊勢湾海域の流動・密度構造の数値解析,海岸工学論文集,第54巻,pp.371-375.

村上智一・吉野 純・安田孝志(2007)
非定常過程における高潮の吹き寄せ効果について,海岸工学論文集,第54巻,pp.281-285.

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