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2016年度日本地震学会論文賞を受賞

地震津波防災研究部門の久保久彦特別研究員が共同研究者として執筆に参加した「Source rupture process of the 2011 Fukushima-ken Hamadori earthquake: how did the two subparallel faults rupture?」が2016年度日本地震学会論文賞受賞対象論文となり、久保久彦特別研究員が同賞を受賞しましたので報告いたします。

この賞は、日本地震学会の学術誌「地震(学術論文部)」または「Earth, Planets and Space」「Progress in Earth and Planetary Science」に発表したすぐれた論文により、地震学に重要な貢献をしたと認められる者を対象として日本地震学会から贈られる賞です。

授賞式は2017年度日本地震学会秋季大会で行われる予定です。


受賞対象論文

受賞対象論文:Source rupture process of the 2011 Fukushima-ken Hamadori earthquake: how did the two subparallel faults rupture?

著者:田中美穂・浅野公之・岩田知孝・久保久彦

掲載誌:Earth, Planets and Space、第66巻、101、DOI: 10.1186/1880-5981-66-101、2014年8月Blank

受賞理由

本論文は,2011年福島県浜通りの地震の震源破壊過程について,平行でも共役でもない2つの断層間の破壊の動的誘発に着目し,強震波形記録の解析と数値シミュレーションに基づいて,井戸沢断層の破壊によって湯ノ岳断層の破壊がどのように誘発されたかを解明したものである.本論文は,地震記録を用いた震源破壊過程に関する既往研究に比して,次の2点において斬新である.1点目は,湯ノ岳断層の破壊時刻及び破壊開始点の推定方法である.複数の断層面が破壊する地震の震源過程解析の既往研究では,2番目の断層の破壊時刻及び破壊開始点は,試行錯誤的に,もしくは別の情報による先験的な仮定により与えられてきた.本研究は,赤池ベイズ型情報量規準(ABIC)を用いた従来の震源インバージョン手法の枠組みを拡張し,ABICによる客観的な評価に基づいて,2番目の断層の破壊時刻及び破壊開始点を時空間のすべり分布と同時に推定する新しいインバージョン法を世界で初めて導入した.提案手法を適用することでその有効性を実証し,湯ノ岳断層と井戸沢断層の破壊時刻差は4.5秒,湯ノ岳断層の破壊開始点は北西側の深い位置であったことを明らかにした.2点目は,井戸沢断層の断層すべりモデルに起因する応力場の時間発展の数値計算を行い,井戸沢断層の破壊が湯ノ岳断層の破壊を動力学的に引き起こしたことを説明したことである.湯ノ岳断層面上でのtime-dependent ΔCFF(湯ノ岳断層のすべり方向に対するクーロン破壊関数の時間変化)を求め,井戸沢断層の破壊開始(発震)時の4.5秒後に,湯ノ岳断層の破壊開始点付近では正のΔCFFのピーク(約0.8MPa)が得られ,断層面上で破壊しやすい条件にあったことを示した.平行でも共役でもない2つの断層が同時に破壊するという極めて稀な観測事例としての運動学的震源モデルが,応力場の時間変化を追うことによって動力学的にも適切であることを示した点は極めて重要である.以上のように,本論文は,新たな震源過程解析手法の提示ならびに共役ではない2つの断層が破壊する地震の破壊様式の解明という2点において地震学の発展に新しい貢献をしたものであり,2016年度日本地震学会論文賞とする.

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