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CSIS DAYS 2019において「優秀共同研究発表賞」を受賞

CSIS DAYS 2019において、「多時期のドローン調査に基づく斜面崩壊地と植生回復モニタリング」内山庄一郎(防災科学技術研究所)、齋藤仁(関東学院大/CSIS)が、「優秀共同研究発表賞」を受賞しました。

斜面崩壊地の植生の変化


担当研究者のコメント

賞状「阿蘇の野焼き」や「大草原の景観」に象徴される九州の阿蘇火山では、2012年7月九州北部豪雨に伴い、多数の斜面崩壊が発生しました。この地域では、近年、およそ10年ごとに豪雨による集団多発的な斜面崩壊が発生しています。しかしこれまでは、同じ斜面を、高い分解能で繰り返し観測する低コストで簡便な手法が無かったため、次の崩壊が発生するまでの間、崩壊地の植生回復の過程や、直前の崩壊と次に発生する崩壊との位置的な関係性、次の崩壊発生メカニズムなどを詳細に明らかにするには困難がありました。そのような中、2012年7月九州北部豪雨からおよそ2年後の2014年、世に出始めたばかりのドローンを携えて、空中写真の撮影と斜面崩壊地の分析に着手しました(関連業績参照)。
阿蘇火山の中央火口丘の仙酔峡地域を対象に、夏と冬(野焼き後)の年2回を目安として、2019年現在まで途切れることなく観測を行ってきました。時には雨天のため全体の半分も撮影ができず、再調査となった時もありました。また、2016年4月には熊本地震に伴い新たな斜面崩壊も発生し、豪雨と地震とによる斜面崩壊の地形的違いを考察するデータも得られました(関連業績参照)。
本発表は、ドローンという最新かつ高分解能な観測技術を用いて、地形変化を対象とする意味では高頻度に、かつ継続的に地形や植生の回復・変化過程を分析したものです。自然災害が発生すると、局所的・単発的に詳細な調査が多数行われますが、このような時間・空間的に分解能の高いデータを継続的に蓄積している例は多くはありません。その意味で、我々は過去にはない貴重なデータセットを保有していることになります。今年度から、データセットの一部を東京大学 空間情報科学研究センターのJoRAS(研究用空間データ基盤)に登録するなど、データ公開の試みも行っています。本研究の実施には、地元地権者や自治体、周辺施設等の関係者のご理解とご協力によって成り立っています。ここにあらためて感謝を申し上げるとともに、ここで得られた知見を次の災害の被害低減につなげるよう、引き続き努力してまいります。


関連業績

Saito, H., Uchiyama, S., Hayakawa, Y.S., Obanawa, H., (2018) Landslides triggered by an earthquake and heavy rainfalls at Aso volcano, Japan, detected by UAS and SfM-MVS photogrammetry. Prog Earth Planet Sci 5, 15, doi:10.1186/s40645-018-0169-6
齋藤 仁, 内山庄一郎, 小花和宏之, 早川裕弌 (2016). 平成24年(2012年)7月九州北部豪雨に伴う阿蘇火山地域での土砂生産量の推定 -UAVとSfM多視点ステレオ写真測量を用いた高精細地形データの活用-. 地理学評論, 89, 347-359.
内山庄一郎, 齋藤 仁 (2016) 平成28年(2016年)熊本地震によって発生した仙酔峡における斜面崩壊の性状. 第55回日本地すべり学会研究発表会, 115-116.

       

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