首都圏レジリエンス研究推進センター
企業も強くなる、首都圏も強くなる
レジリエンスを
都市機能、人口が集中する首都圏は、日本の頭脳であり、社会経済活動の中枢です。
いつ起きてもおかしくない首都直下地震などの首都圏を中心とした災害リスクを正確に評価するとともに、首都圏が総合的な事業継続能力や対応能力を備えていかなければなりません。
被害が出た社会が少しでも早く復旧し、復興に向かうには、経済活動の立て直しも欠かせません。
そのためにも、産官学民が力を合わせて首都圏のレジリエンスを高めていく必要があります。
首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクト
社会科学・理学・工学を融合し、産官学民一体となって災害の予防力・予測力・対応力の向上を目指します。
データ利活用協議会
防災科研が、賛同する企業・組織や大学などの研究者とともにオールジャパン体制で推進。多様なデータを、研究や災害対応に利活用します。
「デ活」 : 災害における共通価値の創造へ
これからの企業や組織は、いわゆるCSR(Corporate Social Responsibility)、社会的な責任として防災に向き合うのではなく、そこから一歩進めたCSV(Creating Shared Value)、共通価値を創出するものにパラダイムシフトする必要があります。防災科研ではデータ利活用協議会「デ活」を展開。産官学民が幅広く参画し、さまざまなデータの利活用が取り組まれています。たとえば東京ガスは、ガスを安全に供給するために首都圏を中心として独自の地震センサーを約4,000カ所配備しています。デ活を通じてそのデータを共有することにより、官民が連携した超高密度地震観測網の実現に一歩近づくことができます。
サブプロ(a) 社会科学分野「対応力の向上を目指す」
首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上に資するデータ利活用に向けた連携体制の構築
(1)被害の拡大を阻止し、都市機構の早期回復・復興を実現する技術的課題抽出、データ利活用の検討
(2)データ利活用に向けた民間企業や関係機関等との連携
事業継続能力の向上のための業務手順確立
災害時の被害や損失を最小限にとどめ、迅速な対応や早期の復旧を可能とするには、平時の業務を継続しながら、災害時に発生する業務も実施していく必要があります。この事業継続を実現するために、過去の災害事例を分析・検討し、「標準的な業務手順(SOP)」を確立していく方策を検証しています。
サブプロ(b) 理学分野「予測力の向上を目指す」
官民連携による超高密度地震・観測データの収集・整備
(1)官民連携超高密度観測データの収集・整備
(2)マルチデータインテグレーションシステムの検討
マルチデータインテグレーションによる超高密度データ収集の実現へ
首都圏地震観測網(MeSO-net)とMOWLASを土台とし、民間企業などが持つ観測機器のデータを統合することで、あたかも一つの観測網のように首都圏の揺れを高精度・高解像度に把握することを目指しています。
サブプロ(c) 工学分野「予防力の向上を目指す」
非構造部材を含む構造物の崩壊余裕度に関するデータの収集・整備
(1)非構造部材を含む崩壊余裕度※に関するデータ収集・整備
(2)地盤一建築系のセンシングデータの収集・整備
E-ディフェンスを活用した崩壊余裕度データの収集
地下の配管設備も再現した3階建て木造住宅の震動実験を実施。大地震時における都市機能の速やかな回復などを目的として、天井や設備などの非構造部材を含む構造物の機能検証や個人の防災行動などに資するデータの収集・整備を行っています。
「デ活」をはじめとしたさまざまな試みから
実際の防災行動に結びつけられる仕組みづくりを
センター長 平田 直
地震が発生し、どんな災害が起き、社会がどう対応するかという、社会科学と理学、工学の研究を一緒に行うところは、まだまだ少ないと思います。2018年の大阪府北部地震では、近畿2府4県で約12万台あったエレベーターの半分が停止、すべての復旧に4日を要しました。今後の首都直下地震のことを考えると、そうした損害を最小限に抑える方法も考えていかなくてはなりません。これまでにない「デ活」などの取り組みも、まずは一つずつ成功事例を重ねるところから。3年、5年かけ、将来につながる防災の仕組みを形にしていきたいと思います。