変容する雪氷災害の危険度把握と面的予測の融合研究
リアルタイムで
あらゆる雪氷災害の危険度を可視化!

これまでは主に日本海側の積雪地域で起きていた雪氷災害。しかし近年、太平洋側の雪の少なかった地域、首都圏の人口密集地などでも深刻な被害が見られるようになってきました。
雪氷災害は従来、天気や風速などから統計的に予測されてきましたが、当プロジェクトでは物理法則による新たな予測システムを開発しています。たとえば、気温が何度で風速が何メートル/秒なら、雪はどれだけ融けるのか。そうした一つひとつの過程を基本法則に基づいて数値計算し、予測の精度を高めています。
雪氷災害イベントツリー
雪氷災害と一口に言っても、ハザードの種類(吹雪、雪崩、着雪・着氷など)と発生する場所によって、人的被害や建物の倒壊、停電や交通・物流への影響などさまざまな被害が生じます。当プロジェクトでは、あらゆる雪氷災害を対象に研究を行っています。

リアルタイム雪氷災害予測
現況の観測データと気象・積雪予測技術の融合により、雪崩から吹雪、着雪まで、これまでにない総合的な雪氷災害のリアルタイムハザードマップを作成しており、道路などの交通網の管理にも役立てられています。今後は雪の多い日本海側だけでなく、南岸低気圧による大雪で近年深刻な被害も出ている首都圏、太平洋側まで拡張し、多様化する雪氷災害に対応していくことを目指します。

雪の形状まで再現!世界唯一の実験施設「雪氷防災実験棟」
天然に近い結晶型の雪を降らすことができる「雪氷防災実験棟」は、世界でも唯一の存在。近年の研究では、小さく枝分かれした雪の結晶が絡み合って降るぼたん雪や、丸い玉のような結晶のあられなど、雪の質によって表層雪崩の起きやすさが変わることもわかってきています。この実験棟には、国内はもちろん、世界的な研究拠点として海外の大学や研究所からも数多くの研究者が訪れ、防災科研との共同研究が行われています。信号や電車のパンタグラフに着雪する風速や気温の検証実験など、日々の生活の中のさまざまなことにも役立てられています。

雪道の安全なドライブ 路面凍結情報などを道路管理者向けに試験配信
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当プロジェクトが進めているリアルタイム雪氷災害予測の一つに、民間気象会社と共同研究している道路雪氷情報があります。現在、実際の道路での試験運用も開始し、どのように情報を出すのが効果的かなど、細かな検証を重ねているところです。近年は首都圏でも大雪が降り、道路で車が立ち往生する事態が発生しています。事前に雪や氷による路面状態の予測がつけば、道路管理者が早めに交通規制などの対応を行い、混乱を避けることが可能になります。