社会基盤の強靭性の向上を目指した研究開発
世界最大規模を誇る震動台を活用!
地震に強い建築、まちづくりを

巨大地震にも負けないレジリエンスな社会を目指し、実験による地震被害の再現、構造物の耐震性や対策技術の検証を行い、災害を未然に防止するための各種技術の研究開発、およびシミュレーション技術の活用に関する研究を行っています。また、E-ディフェンスと大型耐震実験施設の2つの施設を連携して運用しており、国内外の機関に活用されています。
実大三次元震動破壊実験施設(世界最大の三次元震動台)
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実大三次元震動破壊実験施設(兵庫)
「E-ディフェンス」世界最大にして最高性能の振動台(大きさ20m×15m、最大搭載荷重1,200t)により、実物大の構造物の加振実験ができる施設
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大型耐震実験施設(つくば)
E-ディフェンスに次ぎ、世界第2位の規模で大規模な耐震実験ができる施設
あらゆる実験を実施し、技術開発・検証を進める
現行基準よりも高い耐震性能を有する構造物などの研究から、液状化の再現、ため池の耐震工法検証、都市計画に関わる研究まで、幅広く実施。この施設で評価された住宅がハウスメーカーで商品化されるなど、民間会社での利用も進んでいます。

10階建ての鉄筋コンクリート造建物を模した大規模な実験。あらゆる角度からの映像、各所に設置したセンサーのデータなどから、耐震性の評価技術を研究
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旧耐震基準で建てられた木造住宅(左)と、現行基準で補強した木造住宅(右)でどれくらい地震被害に差があるのかを調べた実験の様子
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ため池の遮水を目的に遮水シートを堤体内に敷設する事例が増えていますが、それをどのように敷設すれば地震による決壊の被害を防げるかを、実験を通して検証
数々の実験データや映像をウェブで公開
E-ディフェンスでの実験は、防災科研が単独で行ったもの、産官学民との共同研究なども含め、これまで約100件行われています(2019年4月現在)。そのうち、メーカーの商品開発などによる非公開実験以外は全て、ウェブ上で加震実験映像を公開。建物の設計図面や実験目的、実験をモニタリングしたセンサーの位置などの詳細情報はE-ディフェンス アーカイブ「ASEBI」にて公開しています。
アーカイブ動画はこちら
映像データをもとに地震を再現!VR映像による仮想被害体験
実験時の映像データをもとにして、地震の疑似体験ができるVR映像なども開発しています。既存の地震映像に、当プロジェクトで研究を進めているシミュレーション技術を掛け合わせることによって、地震被害への理解をさらに深める手立てになります。このVR映像は、防災科研の一般公開などさまざまなイベントで体験することができます。

地震発生時の10階建ての建物の挙動をシミュレーション
当プロジェクトでは、地震時に高層建築物がどう動くかを計算機上で再現する数値震動台(E-Simulator)の研究開発を進めています。たとえば10階建ての鉄筋コンクリート造の建物をコンピュータ上で再現し、地震時の挙動をシミュレーション。E-ディフェンスなどでの実験との比較から、このシミュレーション技術で実際の建物の動きや変形を正しく表現できていることを確認しています。

TOPICS 地震によって体育館の天井はどうなる?実際の建物を揺らして検証
東日本大震災で落下が相次ぎ、2014年にようやく建築基準法で明確な基準が設けられたのが、学校の体育館などの天井です。天井の落下による人的被害の危険だけでなく、体育館が発災後の避難所として利用できないという事態も引き起こします。E-ディフェンスを用いて東日本大震災時の揺れなどをリアルに再現し、現状の吊り天井がどうなるか、補強をするとどうなるか、ネットで落下を防ぐことはできるのかを検証。文部科学省発行の文教施設のガイドブック『屋内運動場の天井等落下防止対策事例集』にもそのデータが掲載されました。
