マルチセンシングに基づく水災害予測技術の開発

より”確実”な情報が求められる
風水害・土砂災害予測を追求!

過去四半世紀もの間、豪雨や大雪、土砂崩れなどの気象災害による死者数は減っていません。
災害対応の現場では、より確実性の高いハザード情報が求められています。
住民を守るために各市町村が発令する避難勧告などは、実際の観測に基づくことがほとんどであり、予測情報の活用はまだ十分ではないのです。たとえば積乱雲が発達して雨が降り出し、ゲリラ豪雨となる、その始まりから終わりまでを予測できれば、迅速な避難や災害対応の大きな助けとなります。
当プロジェクトでは被害が拡大しやすい首都圏を中心に、最先端の各種センシング(=計測)機器を展開。シミュレーション技術も駆使。
災害発生前の予測から災害発生後の状況把握まで行い、より精度の高い有益な情報が現場に届けられるよう、研究を重ねています。 

ゲリラ豪雨等を引き起こす積乱雲の観測予測技術の開発

積乱雲の発達を早期予測と発達した積乱雲の直前予測から災害予測を行う観測予測技術の開発のイメージ

世界最大級の規模の大型降雨実験施設

防災科研の擁する「大型降雨実験施設」は、世界最大級の規模を有しており、1時間あたり最大300㎜の雨を約3000㎡の範囲に降らせることができます。大雨によるがけ崩れを再現し、その発生メカニズムを調べることが可能です。また地すべりを感知するセンサーの性能検証や、豪雨下でのレーダや自動運転の検証など数々の実験が行われています。 

大型降雨実験施設で大雨によるがけ崩れを再現した実験を行なっている様子
  • 地すべりを感知するセンサーの性能検証の様子
  • 豪雨下での自動運転の検証

高潮の発生を予測するなど沿岸災害予測技術の高度化

高潮による浸水被害からの避難に役立てることを目指して、想定される最大級の台風をもとにした高潮・浸水のシミュレーションを行うなどの研究を進めています。 

高潮・浸水のシミュレーション。浸水被害の度合いをグラフ化した画像

社会と共同した実証実験

地方自治体と共同で実証実験を行い、必要な防災情報を適切なタイミングで提供できるようにします。また、民間企業への技術提供、人材育成なども行います。 

  • 2018年7月~10月には、予報をメールで通知する「豪雨直前予測」の実証実験を実施。

  • 「ふるリポ!」は、市民のみなさんからの気象リポート(ひょうや雪、突風、水害など)をウェブ上で公開。投稿された情報は、研究開発に役立てられています。

TOPICSゲリラ豪雨などの急激な変化を迅速に感知するXバンドMPレーダ

XバンドMP(マルチパラメータ)レーダの電波塔と2008年に雑司が谷で発生したゲリラ豪雨の観測を従来の気象レーダとXバンドMP(マルチパラメータ)レーダで観測した比較画像。MPレーダーの方が従来の気象レーダに比べ精度よく雨の強さや降る範囲を観測ができていることがわかる。

垂直・水平方向に振動する2つの電波(偏波)を送受信し、従来の気象レーダよりも精度よく雨の強さや降る範囲を観測できるのが「XバンドMP(マルチパラメータ)レーダ」です。防災科研が開発したXバンドMPレーダの観測技術は、国土交通省のXRAINに技術移転・全国展開され、ゲリラ豪雨の監視を可能としました。現在、250m四方単位で1分ごとの雨量情報が、XRAINにより提供されています。ゲリラ豪雨などの急激な変化を迅速に捉えることで、適切な対応につなげることができます。

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