防災科研の健康経営について
健康経営宣言
毎年のように繰り返す気象災害や迫りくる国難災害の脅威によって、防災に対する社会の関心は高まりを見せている。それに伴って、わが国の防災研究の中核的機関としての防災科学技術研究所への期待も高まりを見せている。
こうした社会的負託に応えるには、 防災科研に優秀な人材が広く集まり、生き生きと研究や業務に励める魅力ある研究所となる必要がある。その第一歩として、現在、防災科研に籍を置く誰もが研究や業務に、 生き生きと取り組める環境の整備が求められる。ここで大事なことは、より良い環境はトップダウンで用意されるものではなく、所員の皆さんと、協力して作り上げるものである。
防災科研の現状を見ると、所員の平均年齢は46.6歳と全国平均に比べて高く、潜在的な健康リスクが存在している。また仕事のあり方でもまだまだ特定の人しかできない仕事が多く、その人がいなければ業務が回らない状況も散見される。勤怠管理システムの導入やワークフローによる電子決裁の導入など効率化の努力が開始されていることは大変意義のあることであるが、まだまだ厳しい状況が続いており、状況の改善は喫緊の課題である。
所員の健康管理・健康づくりの推進は、医療費の軽減という直接的な効果だけを求めるものではなく、所員のワークライフバランスの向上、 所内のコミュニケーションの活性化、業務の生産性の向上、所員の創造性の向上、チャレンジやトライアルを奨励する文化の浸透、防災科研の社会的イメージの向上等の多面的な効果が期待されるとともに、リスクマネジメントという観点からも積極的に重要である。そこで所員の健康を経営的視点からとらえ、健康管理・健康づくりを戦略的に実践する「健康経営」の推進を宣言する。
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
理事長 林 春男
健康経営の実践
防災科研が国民・社会に約束した責務を着実に果たすためには、人は宝という考えに立ち、所員が健康でのびのびと研究や業務に邁進できる勤務環境の実現が重要である。所員が自ら健康を考えること、所員の健康を重視する組織でありつづけることを文化として定着させるために、所員は健康経営宣言に基づき、とるべき行動を考え実践する。このことが働き方改革やワークライフバランスの目標の実現にも繋がることとなる。
- 健康経営の重要性を正しく理解すること
- 健康経営の重要性を正しく理解すること
・各所員のアイデアとやる気が重要(例:健康づくりリーダー) - 目標に向けて行動する(産業医等とともに)
健康経営推進体制
健康づくり責任者を理事、健康づくり副責任者を総務部長とし、健康経営を推進しています。令和3年12月より各部署に1名健康づくりリーダーを任命し、アドバイザーである産業医、衛生管理者、安全衛生委員会と連携しながら施策を実行しています。健康づくりリーダーは健康経営アドバイザー(※)の資格を取得し、健康経営の知識を深め、健康経営の施策の実践、各部署への展開に取り組んでいます。
※健康経営の必要性を伝え、実施へのきっかけを作る人材を育成する東京商工会議所が実施している研修プログラム


健康経営の実施により期待する効果
健康経営の推進により、医療費の軽減という直接的な効果だけを求めるのではなく、所員のワークライフバランスの向上、所内のコミュニケーションの活性化、業務の生産性の向上、所員の創造性の向上、チャレンジやトライアルを推奨する文化の浸透、防災科研の社会的イメージの向上等の多面的な効果が期待されます。

健康経営戦略マップ
健康経営で解決したい課題を「防災研究の中核機関としての社会的負託に応えるため、優秀な人材が広く集まり、生き生きと研究や業務に励める魅力ある研究所となる」こととし、健康経営の実施により期待する効果や具体的取り組みのつながりを「戦略マップ」により整理しました。

健康経営取組結果に関する指標
健康経営取組結果に関する指標の経年変化を確認し、改善のためのPDCAサイクルを回していきます。

健康経営の具体的取り組み
防災科研では以下の取り組みを行い、健康経営を推進しています。
所員の健康管理・健康増進に関する取り組み
- 定期健康診断の充実化
- ・診断項目に「胃がん」「子宮頸がん」「乳腺エコー」を追加。
- 受動喫煙の防止
- ・つくば本所(茨城県つくば市)、兵庫耐震工学研究センター(兵庫県三木市)は指定された屋外喫煙所以外での喫煙を禁止。雪氷防災研究センター(新潟県長岡市)、同センター新庄雪氷環境実験所(山形県新庄市)は令和4年10月1日より敷地内全面禁煙。
ワークライフバランスの向上に関する取り組み
- 休暇制度の見直し
- ・有期制職員の育児・介護休業の取得要件を緩和。不妊治療に係る通院等のための休暇(出生サポート休暇)を新設。
- 時間外勤務縮減月間の設定
- ・部門等ごとに7月から10月までの任意の1カ月を時間外勤務縮減月間と設定し、所属職員は該当設定月に8日以上の定時退勤日(超過勤務をしない日)を設定。所属長は所属職員の実施状況の管理を行い、時間外勤務の縮減を促進。
コミュニケーション、生産性向上、所員の創造性の向上に関する取り組み
- ビジネスチャットツールの導入
- ・テレワーク等の実施時におけるコミュニケーション活性化のため、令和4年5月より全職員にビジネスチャットツールを導入。
- 各棟コミュニケーションスペースの設置
- ・タテ・ヨコ・ナナメコミュニケーション活性化のため、各棟にミーティング等が出来るフリースペースを設置。職員公募で当該スペースを「NIEDフリーデスク」と命名し、活用を促進。
- メンター制度の導入
- ・令和3年度より定年制事務系職員を対象としてメンター制度の試行運用を開始。令和4年度より実施要領を整備し、本格運用を開始。
メンタルヘルスに関する取り組み
- 健康なんでも相談室の設置
- ・産業医と看護師による相談室を設置。毎週第3金曜日に健康に関する様々な相談を受付。
- 外部健康相談窓口の設置
- ・防災科研健康ダイヤル24を設置し、職員とその家族の健康相談を受付。
ヘルスリテラシーの向上に関する取り組み
- 健康習慣アンケートの実施
- ・職員に健康課題を把握するために健康習慣アンケートを実施し、後日職員へのフィードバックセミナーを実施。
- 管理職員を対象とした健康保持・増進施策に関する研修の実施
- ・メンタルヘルス(ラインケア)に関する管理職向けのeラーニングを実施。
- 全職員を対象とした健康リテラシー向上のための研修及びeラーニングの実施
- ・産業医によるメンタルヘルス研修を実施(令和4年度のテーマは「発達障害」について)。
・メンタルヘルス、女性の健康問題、喫煙と健康等のテーマについてeラーニングを実施。 - 健康講話動画の所内配信
- ・産業医と看護師による健康講話動画を、職員がいつでも確認できるよう、所内イントラネットで配信。
運動機会の増進に関する取り組み
- 茨城県公式健康づくりアプリ「元気アップ!りいばらき」の活用推奨
- ・茨城県公式健康づくりアプリを活用し、運動機会の増進を推奨。
評価
令和5年3月8日、防災科研は健康経営優良法人2023に認定されました。
健康経営優良法人認定制度は、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。

令和3年9月15日、防災科研は「いばらき健康経営推進事業所」に認定されました(認定番号 第136号)。
いばらき健康経営推進事業所認定制度は『県民が日本一幸せな県』の実現に向けて、県民の健康寿命日本一を目指す「いばらき健康寿命日本一プロジェクト」を策定しており、その一環として生まれた制度です。

防災科研は引き続き、健康管理・健康づくりを戦略的に実践する「健康経営」を推進してまいります。
お問い合わせ
防災科研の健康経営に質問等があればお気軽にお問合せください。また、健康経営優良法人を目指すお取引先企業の皆様、防災科研の健康経営の取り組みに興味がある企業等の皆様のご連絡もお待ちしております。
health [at] bosai.go.jp
*[at]を@に変換してください