第1回高専防災減災コンテスト要旨集
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。9審査員長講評インフラはみんなで守る ~技術者育成VR教育コンテンツ~若林輝(学⽣),樋⼝直也(教員)福井県には2,351橋の橋梁があり、5年に1回の頻度で主要な道路インフラ点検が⾏われています。しかし、令和4年8⽉の記録的な豪⾬被害をはじめ多くの災害に⾒舞われ、点検の頻度を⾼める必要があります。そこで、⽇々橋梁を使う⽅々になんとなく点検を意識づける技術者育成VR教育コンテンツを体験してもらい地域の減災⼒をアップさせ、インフラをみんなで守ります。 第1回高専防災減災コンテストでは、非常に意義のある知見の共有、励まし合いの場、それから気付き合いの機会、それをコンテストというかたちで実現してくださいました高専機構の皆様、防災科研の皆様、国際科学振興財団の皆様、そして後援などのご協力をいただいた皆様、本当にありがとうございました。 本日発表した10チームは、それぞれの地域が抱えている課題をうまくとらえて取り組んでいると思いました。活動を見させていただいて、3つ感銘を受けた点があります。1点目はアプローチの独自性と先見性、2点目は体制構築の多様性、3点目は、地域防災減災の分野の日本ならではの価値だと思っています。1点目として皆さんは、デジタル力ではなくアナログ力を合わせた二刀流を目指していますが、この点が大変重要なところだと思います。高専はエンジニアリングに偏っているという風に見られがちですが、実際には、皆さんの取組みは、エンジニアリングを実際の世の中で役立てるために、多くの人の声を聴き、人と人の力を関係させてそこから価値を生み出そうとして、エンジニアリングとそれを実際に課題解決につなげるところを含めたアプローチに取り組んでいる素晴らしさがあります。それから 2 点目は、実施体制や取組みの中で、ステークホルダーヒアリングを重視している点です。多様なステークホルダーを巻き込んでいる実施体制自体が、素晴らしいことだと思います。最後の3点目ですが、日本は地震、火山、台風、土砂崩れなど自然災害が多く発生します。世界と比べると、日本は災害の多様性と頻度について経験値が高いことになります。日本で防災の課題に取り組んでいるということは、実は災害対応の現場にいるということになります。皆さんがこのコンテストで生み出したサービスやプロダクツは、日本全国、あるいは今災害で困っているトルコやシリア、また災害が頻発している世界の途上国や先進国も含めて、将来大きく花開く可能性があります。 皆様の活動が来年度以降も発展し、世の中にインパクトを与えることを期待しています。本日はどうもありがとうございました。アイデア検証アイデア検証アイデア検証報告資料報告資料報告資料実証内容1.橋梁点検を⾏っている技術者⽬線を360°カメラで撮影し、仮想空間を作製しました。2.福井県⼟⽊部道路保全課の⽅々へのヒアリングおよび体験会を実施しました。⽬標とする取組成果⾼専⽣の取組みに⾏政機関、⺠間業者が賛同し、メンターの協⼒頂いたことで技術者育成VR教育コンテンツを製作することができました。技術者育成VR教育コンテンツの体験会を実施した結果、⽬視でひびわれを⾒つけることや、ハンマーで叩いた反響⾳で異常を⾒つけることを把握することができたとの意⾒が得られた。ステークホルダーヒアリングで得られた取組への期待・年々、災害の規模と頻度が⾼まっており、5年に1回の橋梁点検では⼼許ない。いつも使われる県⺠の⽅が点検の⼀部を担うことができるため橋梁の安全性は上がり、減災につながります。・実際、県⺠の⽅から「橋梁にひび割れがある」、「舗装が剝がれている」などの不安を覚える通報があるので、技術者育成VR教育コンテンツの需要は⾼いと考えられる取組成果・効果取組内容提案者企画概要福井工業高等専門学校福井⼯業⾼等専⾨学校インフラはみんなで守る~ 技術者育成VR教育コンテンツ~

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