令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会②福祉関連部署への防災・災害対応に関する全国調査福祉分野が防災・災害対応にどうかかわるのかは、高齢化が継続し、要配慮者が増加し続けている現在の日本においては、喫緊の課題である。しかし、災害対応業務研究において、あまり目が向けられておらず見えづらい。そこで、福祉分野における災害対応について、現状を把握するために全国の基礎自治体1,718市町村に質問紙調査を行った。調査票では、避難行動要支援者の個別避難計画作成等を含む災害時要配慮者対策や、地域防災計画、BCP作成等への主体的な参画、受援体制構築のための計画や訓練等の実施、所管している福祉サービス事業所における災害対策の実施とその把握等を尋ねた。また新型コロナウイルスによる業務への影響についても問い合わせた。災害過程研究部門松川杏寧・大塚理加Point■自治体の災害対応業務を分析するために、災害対応検証報告の分析と、実際の災害発生時の業務分析を行った。■現在の災害対応業務の研究において顕在化できていない福祉関連部署の防災体制や災害対応について、実態把握を行った。概要本研究は大きく2つの視点から調査研究を行った。①災害対応を行った自治体の災害対応業務分析被災した自治体が発行している災害対応検証報告書の分析を行っている。まず、地震による被災地の事例として、熊本地震を対象とし、熊本県と益城町の分析を行っている。次に風水害による被災地の事例として、岡山県と倉敷市の分析を行っている。災害対応の主体は基礎自治体ではあるが、その基礎自治体を支援する窓口であり、広域調整を要する災害対応業務についても検討するため、必ず都道府県と市町村の両方の検証報告をペアで分析することとした。分析枠組みとして、報告書に書かれた各業務を、災害対応フェーズ(①初動期:発災から3日目程度、②応急期:3日~1か月程度、③復旧・復興期、発災後1か月以降)、実施主体、関連部署、業務内容等で分類し、フェーズごとにどのような災害対応業務が誰によって行われているのかを整理している。今後も引き続き、マルチハザードで分析事例を増やしていくことで、標準的に実施されている災害対応業務が明らかにできる。この検証報告書からの事例に加えて、実際に実務に携わった行政職員の視点による災害対応業務について、業務量調査やインタビュー調査によって検討している。今年度は、風水害で近年被災したA市に対して調査を行っている。平時と比較して、発災時には業務量や業務内容がどのように変動したのかや、その変動に対しての応援受援の実態を調査し、望ましい災害対応業務の在り方について検討する。今後の展望・方向性現在実施している調査研究を継続し、事例やデータを蓄積しつつ、次年度は災害対応や発災時の応援にかかわる防災・危機管理の知見が深い自治体職員(総括マネジメント支援員等)に、有識者としてインタビュー調査を行う等、別の視座も取り入れた多角的な調査研究を行う。また、今年度の調査研究で明らかになった課題を解決するための、一歩踏み込んだ調査研究を行う。それによって、だれ一人取り残さない防災とその実現のために必要な、自治体の理想的な災害対応の在り方を追求していきたい。災害対応DX構築に向けた自治体災害対応の標準化

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