令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会図1調査ツール一式と記録状況図2令和2年7月熊本県人吉市の記録範囲図3人吉市記録画像の例(赤色丸内が片付けごみ)防災情報研究部門水井良暢Point■災害ごみ片付け作業量と必要人員の即時的把握手法■車両を利用した道路沿いからの建物密集地区の状況記録調査■災害VC関係者に対して簡易的判読手法の研修と機材整備が必要概要近年,日本国内では毎年のように甚大被害を伴う広域災害が各地で発生している.筆者は,各地の災害ボランティアセンター(以下:災害VC)運営に関わり,被災現地での実作業量と,必要とされる災害ボランティア人数の調整の難しさを実感してきた.求められる災害ボランティア人数は日による変動が大きい.家屋等から発生する片付けごみ量により活動量が左右されることが多く,現地での即時的な片付けごみ量が把握できれば,災害ボランティアの短期的な必要人数の推計ができると考えられる.当研究では1事例として令和2年7月豪雨災害における熊本県人吉市での実態を把握し,片付けごみ処理作業量と必要人員の即時的把握手法について考察した.画像による判読手法を用いて,災害VC運営側である社会福祉協議会(以下:社協)の活動計画参考情報として活用できる「片付け作業量=片付けごみ量」概況の災害発生直後での迅速な把握を試みた.災害発生直後とは,応急補修作業等が行われる前の時期,もしくは片付けごみ作業が開始されたばかりの初期段階である.結果,7月の時期に水害被害が発生した人口3万人規模の人吉市において,家屋被害数が約5,000~6,000棟の場合,片付けごみ判読量がピーク時と判断された時期では, その地区の被災者人数の40~50%に相当する災害ボランティア人数が活動していたことがわかった.手法被災した建物への復旧作業開始時期に,デジタル記録ツールを用いて,車両を利用した道路沿いからの建物密集地区の状況記録調査を実施する.調査では,車内高さ1.5mの位置にカメラを設置し,車のフロントガラス全域を撮影できる広角レンズを使い,毎秒3コマから9コマの撮影を,時速10km程度の速度で行い道路沿いの被害を把握・記録する(図1~3).今後の展望・方向性手法自体の課題としては,画像取得時の車速と画像判読時の画像切り出し秒数間隔などの最適化がある.2019年の山形県鶴岡市(地震災害)の取り組みでは,記録区間での徐行と切り出し間隔3秒間隔としたが,対象物の重複記録が多くみられた.そのため,人吉市では秒数による条件ではなく,15m間程度での切り出しを基本とした.また,遮蔽物の向こう側の画像を確認するための補完手段も必要である.今後も継続して,画像判読結果から見積もる片付けごみ量を推計する計算手法の精度と,その妥当性を検証していく予定である.手法実装面での課題としては,実際に現地で運営を行っている災害VC関係者に対して,簡易的な判読手法の習得と,必要な機材の整備,およびこの手法が自らの災害VC運営に良い効果をもたらすことであるとの理解を促す必要がある.関連団体と協力し研修会などを実施していく予定である.住民と災害ボランティアによる災害ごみ片付け作業量の即時的把握手法の試行

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