令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会地震減災実験研究部門山田学発生が予想される南海トラフや直下型地震への備えが急務です。社会インフラを含む広域免震が実現すれば、震災時の避難区や復興拠点として機能し、経済活動を継続できます。ところが現状の免震技術では、縦揺れ(鉛直方向の振動)は低減できず、現在主流の積層ゴムの場合、長周期成分を含む地震動では、共振という現象の発生により、横揺れ(水平方向の振動)を増幅する可能性があります。これらの理由により、多くの社会インフラ(ガスの供給やエレベータ等)の継続条件である震度4以下への低減は困難です。そこで、新しい3次元免震装置により課題の解決を目指しています。横揺れ(水平方向)は高圧水で地面から浮揚させることで低減します。この方式はゴムのような復元力が働かないため、地震の揺れを増幅しません。また浮揚高さを約0.05mmと小さくすることで、低エネルギーで瞬時の起動が可能です。縦揺れ(鉛直方向)は、油圧シリンダと蓄圧器を用いる低コストの方法を検討しています。今回の加振実験は、基礎データ取得のため水平免震のみ(2次元免震)ですが、積載質量60tonの試験体について、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)などの巨大地震の加振を行い、水平方向加速度を約1/10に低減しました。これにより開発中の鉛直免震装置と組み合わせれば震度4以下を達成できる見通しを得ています。今後、技術を組み合わせ、3次元免震装置としてまとめてまいります。動画概要浮揚式3次元免震装置の開発

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