令和3年度成果発表会
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ab2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会図1本研究で使用した世界中の地震のメカニズム(200個の地震すべりモデル)、期間は1990~2021年、マグニチュードは7.0~9.1(NEIC, Hayes, 2017) (a) 。本研究の断層破壊エネルギー推定値と地震すべりのスケーリング則(b)。また、本研究で推定したスケーリング則を用いて世界中の様々な沈み込み帯の破壊エネルギーの地域特性等について研究を行い、南海トラフ・東北沖等のプレート境界地震の破壊シナリオ(予測)への適用について検討を行う。地震津波防災研究部門概要大地震は、プレート境界に蓄積する力(歪エネルギ)がプレート境界の収束に対抗する力(破壊エネルギ)を超えると、数十年から数百年の間に発生する。したがって、これらの性質の知見を深めることは大地震の発生予測の精度向上のために極めてに重要です。巨大地震の断層破壊は非常に複雑であるため、不均一な断層破壊過程に基づいた断層破壊エネルギーの推定方法を提案した(ここでは詳細モデルGと呼ぶ)。また、巨大地震の発生頻度が少ないため、1990年から2021年まで世界中で発生した地震(マグニチュード7以上)のデータ蓄積を行い(図1a)、断層破壊エネルギの系統的な推定を行った。その結果、断層破壊エネルギーは断層すべりとともに増加すことを示す(図1b、黄色丸表示)。さらに、複雑な断層破壊を考慮しない破壊エネルギーの推定値は(ここでは簡易モデルG‘と呼ぶ)、G値を大幅に過小評価することを分かった(図1b、青十字表示)。最後に、GとG‘の差を用いて大地震を引き起こす断層せん断応力レベルの最低値の推定方法を提供し、本研究のデータベースを用いて計算した。その結果、世界中の沈み込み帯の大地震を引き起こす応力の推定値は極めて低いと明らかにした(数メガパスカル)。今後の展望・方向性本研究では世界中の大地震を引き起こす応力レベルの推定を行った。この結果を用いて世界中の様々な沈み込み帯で発生する巨大地震の断層強度弱化のメカニズムについて研究を行う。また、巨大地震域付近で発生するスロー地震(SSE、微動、VLF等)との関連性について検討を行う。プリードネルソンPoint■巨大地震の破壊エネルギ及び地震を引き起こす応力の推定手法を開発■世界中で発生した大地震の破壊エネルギーを推定(1990年∼2021年)■沈み込み帯の巨大地震を引き起こす応力レベルの推定値は極めて低い世界の巨大地震を引き起こす力の研究

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