令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会東経東経図. 南海トラフ沿いにおけるP波速度(上)とS波速度(下)の標準からのズレの分布の鉛直断面図。青色の領域がフィリピン海プレートに対応する。低速高速(%)これは、解析に用いたデータが不足していることがいちばんの原因であると考えられる。観測点の分布を考慮すると、東経137°以東は難しいところがあるものの、135°付近は海底観測網が展開されている範囲であり、分解能向上の余地が十分にあるものと考えられる。行う必要があるので、既存のデータの中にも有効に活用できていない部分が少なくないものと考えられる。さらに、東経134°以西については海底観測網を現在構築中であり、この新しい観測網で観測されるデータを用いることにより、この領域の分解能が飛躍的に向上するものと期待される。そして、これらのデータを用いた解析結果から、プレート深部の構造やプレートの厚さの不均質と巨大地震すべり域との関係についての検討を行う。P波速度S波速度地震津波火山ネットワークセンター概要南海トラフ沿いでは、近い将来巨大地震が発生するものと懸念されている、本研究では、熊野灘から室戸沖に展開された海底観測網のデータを用いて、南海トラフ沿いの海底下の構造を推定することにより、巨大地震発生域におけるフィリピン海プレートの姿を明らかにし、プレート深部の構造やその厚さと巨大地震すべり域との関係を明らかにすることを目指している。右図は、本研究で得られたP波速度(上)とS波速度(下)の標準モデルからのズレを、南海トラフに沿って切った鉛直断面分布図に示したものである。以前の解析では、紀伊水道下(東経135°付近)では熊野灘下(東経136°〜137°辺り)よりもフィリピン海プレートが厚いという結果が得られていたが、今回の結果では、P波速度分布では紀伊水道下の方が薄く、S波速度分布ではほぼ同じ厚さとなっていて、以前の結果と一致するものとなってはいない。また、P波速度分布で見た時とS波速度分布で見た時のフィリピン海プレートの厚さが、特に東経135°付近と137°以東で大きく異なるものとなっている。これらのことから、これの解析では、プレート深部の構造やその厚さについて議論するのに十分な分解能が得られていないことがわかる。今後の展望・方向性巨大地震発生域直下におけるフィリピン海プレートの明瞭な姿を捉え、プレート深部の構造やその厚さと巨大地震すべり域との関係を議論するためには、もっと多くのデータを用いた解析を行う必要があると考えられる。そこで、日々観測されるデータを追加することによって分解能の向上を図る。また、既存のデータを見直すことによって、解析に用いるデータの蓄積を図る。本研究では、比較的遠くの震源から伝わってきた地震波のデータを用いて解析を神谷眞一郎Point■南海トラフに沈み込むフィリピン海プレートの厚さを推定■海底観測網のデータを用いることによって海域下での推定が可能■巨大地震すべり域と関係があるか?巨大地震発生域のフィリピン海プレート

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