令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会東北地震による歪みエネルギーの変化(赤:増加、青:減少)と東北地震後3ヶ月間の地震活動(緑丸、マグニチュード2.0以上、深さ30 km以浅)。にすることは、その予測精度を向上させ、被害を軽減する上でも重要です。一方、歪みエネルギーの減少域内で地震活動の活発化がみられた地域もあります(図青丸)。これらの地域の地震活動については、東北地震後に生じた流体の移動に伴う断層強度の低下との関連性が指摘されています。地震発生の物理過程を考える上でも重要な手がかりとなると考えられます。地震津波火山ネットワークセンター田中佐千子概要地震は、地下の岩盤に蓄積された歪みエネルギーがその限界(強度)に達したときに、急激な断層運動によってその一部を解消する現象です。断層周辺の岩盤の強度やそこに蓄積されている歪みエネルギーの大きさは直接測定することができないため、地震がいつ、どこで起こるかを事前に予測することは、現状ではきわめて難しいと考えられています。一方、地震が発生すると、地下に蓄積された歪みエネルギーのバランスが変化し、規模の大きい地震(本震)の後には、続いて多数の地震(余震)が発生することが知られています。2011年東北地方太平洋沖地震(東北地震)の発生後には、日本列島の内陸域で広範囲にわたり、各地で地震活動の活発化が確認されました。東北地震によって生じた歪みエネルギーの変化は、通常の地震活動から推定されるその場所の応力場と東北地震の断層すべりの分布を用いて求めることができます。東北日本・中部日本の大部分では、東北地震によって歪みエネルギーが減少していたのに対し、一部の地域では、増加していたことが明らかになりました。地震活動の活発化がみられた地域の多くが、この歪みエネルギーの増加域に対応しています(図赤丸)。今後の展望・方向性本研究により、東北地震後に内陸域の各所でみられた地震活動の活発化は、東北地震によって生じた歪みエネルギーの増加によるものである可能性が示されました。一般に、余震は本震の震源断層の周辺で発生しますが、東北地震のように、遠く離れた場所で地震活動が活発化し、大きな被害を生じさせる場合もあります。これらの地震活動と歪みエネルギーとの対応関係を明らかPoint■東北地震後、日本列島の内陸域各所で地震活動が活発化■東北地震によって、内陸域の一部地域で歪みエネルギーが増加■地震活動の活発化の多くが、歪みエネルギーの増加域で確認東北地震後の内陸地震活動と歪みエネルギー

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