令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会c)茨城県沖2021年8月1日から年8月31日までの再決定された地震の震央分布(赤丸)。黄星印は2021年8月4日5時33分MJMA6.0 の地震の再決定された位置。d)c)図のXY測線(青線)から10 km 以内で発生した地震の深さ分布(赤丸)。灰色丸は気象庁一元化震源。e)d)の断面図にP波速度構造断面図(Nishizawa et al., 2009)をのせたもの。黒点線はプレート境界面の深さ(Iwasaki et al., 2015, Lindquist et al., 2004)を示す。▼:地震波速度構造探査に用いた海底a)震源決定に使用した観測点の範囲(黒枠内)。赤枠内の震源分布をc)に拡大して示す。b) 沈み込む海山付近の海底地形の3次元表示。逆三角形はS-net観測点の位置を示す。地震計の位置(Nishizawa et al.,2009)Point■S-net観測点下の堆積層厚に基づく観測点補正の導入■太平洋プレートの沈み込み構造を考慮した震源決定■2021年8月茨城県沖の地震活動の精密震源分布と海山地震津波火山ネットワークセンター西澤あずさ概要茨城県沖ではおよそ20年に1回程度の頻度でマグニチュード(M)7クラスのプレート間地震が発生していますが、M8を超える巨大地震の発生は知られていません。2011年東北地方太平洋沖地震(M9)の大きなすべりも茨城県沖までは及びませんでした。また、茨城県沖の浅部プレート境界域では多様なスロー地震が同じ深さで近接して発生していることが特徴的で、この領域での海山の沈み込みと関連しているという考えもあります。2021年8月初旬に茨城県沖においてM6の地震を含む活発な地震活動があり、その発震機構解から太平洋プレートと陸のプレートとの境界で発生したと考えられました。しかし、気象庁一元化震源による震源分布の深度断面図では地震活動がプレート境界付近とさらに浅部の2つのクラスターに分かれているように見えました(右図)。そこで、S-net(日本海溝海底地震津波観測網)の走時データを使用し、各観測点直下の堆積層厚に基づく観測点補正を適用し、太平洋プレートの沈み込み構造を考慮した震源決定を行いました。得られた震源分布では浅部の震源のクラスターは存在せず、震源は既に沈み込んだ海山の西側に集中しており、8月初旬の地震活動はプレート境界付近の海山の存在に影響を受けているように見えます。今後の展望・方向性S-net観測点直下の堆積層厚に基づく堆積層補正を行って震源決定することで震源分布のバラツキが有意に小さくなりましたが、より正確な震源断層のイメージを得るためには、さらに震源計算時の走時残差に基づく観測点補正の導入が必要です。今後は補正値や速度構造の改良をさらに重ねて、日本海溝および千島海溝域のより精密な地震活動のモニタリングを目指します。ー茨城県沖の地震活動と沈み込む海山ーS-net データを用いた精密震源分布

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