令和3年度成果発表会
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M離2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会2008年岩手・宮城内陸地震2018年大阪府北部の地震2021年福島県沖の地震表3個の地震について、左から順に、地震名、M(マグニチュード)、使用した観測点の震央距離(震央から観測点までの距離)の範囲、本震後と通常時の発生確率の範囲、通常時からの発生確率の倍率、実際に揺れが発生した観測点数/使用観測点数を示す。地震名7.26.17.3震央距12~28km12~21km68~134km本震後の発生確率通常時の発生確率36~91%0.28~0.72%3~16%0.08~0.13%23~66%0.23~2.2%倍率95~230倍2/4点27~200倍0/4点10~100倍1/4点揺れが発生した観測点数と最大で200倍に達することが分かりました。一方で、福島県沖の地震は解析した3個の地震の中では最大の規模で、4日後までの震度3以上発生確率は最も高い観測点で66%にも達します。しかし、東北地方太平洋沖は普段の地震活動が高いため、普段からの倍率としては最大でも100倍程度という結果となりました。表には、それぞれの地震発生から4日後までの震度3以上の発生確率を、本震前と通常時で分けて示しています。この予測が実際の揺れ発生状況を概ね反映していることも確認できました。今回は震度3以上、4日後までの確率を示しましたが、この確率は任意の揺れの強さと期間について計算できます。ただし、今回は「普段」の確率を計算するにあたり過去半年分のデータを使いましたが、どれだけの期間をもって「普段の」とみなすかについては異論があると思われます。また、何日先の予測まで有効かも自明ではなく、今後調査する必要があります。地震津波火山ネットワークセンター/地震津波防災研究部門澤崎郁概要昨年度は、地震計記録に「極値統計解析」という手法を用いることで、大地震発生後に「ある地震観測点で○日以内に△以上の揺れが起こる確率が□%」という予測ができることを紹介しました。この予測法は余震だけではなく、大地震が起こる前の「普段の」地震計記録にも適用できます。したがって、大地震が起こらず普段通りの地震活動が続いていた場合と比較して、大地震直後の発生確率が「何倍高まったか」という情報を出すこともできます。今回、2008年岩手・宮城内陸地震(M7.2)、2018年大阪府北部地震(M6.1)、2021年福島県沖の地震(M7.3)の発生から3時間分のデータを使って、それぞれの地震発生から4日後までに震度3相当以上の揺れが起こる確率を計算しました。また、それぞれの地震の発生前半年間のデータを使って、本震が起こらなかった場合について同様の確率を計算し、本震後に確率が何倍に高まったかを調べました。解析の結果、大阪府北部の地震では、本震の4日後までの震度3以上発生確率は、最も高い観測点でも16%でした。しかし、近畿地方の普段の地震活動は低いため、普段からの倍率にする今後の展望・方向性天気予報の降水確率が10%の場合、多くの人は傘を持っていかないでしょう。それと同じ感覚で、地震の発生確率が10%程度と聞いた場合、備える人はあまりいないのではないでしょうか。しかし、この確率が例えば「普段の100倍に相当」すると聞けば、かなり怖いと感じるでしょう。「正当にこわがる」ためには、確率そのものの値と普段からの比較の情報がいずれも必要と考えられます。Point■大地震後の揺れの発生確率を「普段のOO倍」と表現可能に■確率が10%以下でも、普段の100倍以上になりうる■「正当にこわがる」ためには、確率値と普段からの比較の両方が必要大地震後に普段の何倍揺れやすくなるか

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