令和3年度成果発表会
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1位変 i0mµ ,sudaR計測時間12019.○○.○○○○○○○○○○○○○101.850101.800101.750101.700101.6502022.2.28令和3年度成果発表会0 360Circumferencialazimuth, deg 変位1 変位2 変位3 変位4 変位5 変位6 変位750dmax, μmdmin, μmSH-Sh, Mpa101.800101.72070.783E(dmax-dmin)/(1-ν)/dminOsakaKonohana2035.5m_190207_1-7100150200図1.此花観測井のボアホールブレイクアウト法で求まった水平最大圧縮方位(左図)と深度2035.5m岩石コアの周方向の半径(左上図)。サインカーブ状になり、応力開放にともない断面が楕円状に弾性変形している。アにおいて、採取後、10年以上経過したものではあるが、外周にそって直径がサインカーブ状に変化し、コア変形法の適用可能となりました。採取された岩石コアの岩石試験(P波速度、S波速度、密度測定)から計算される弾性定数を適用し、応力値を求めたところ、~60 MPaから100MPaを越える差応力値となりました。一方、ボアホールブレイクアウトの方位から,応力の水平最大圧縮方位は,此花でN80°E-N260°E,田尻でN65°E-N245°Eとなり,周辺の北近畿地域における,東西方向の圧縮応力方位に整合的となりました。今回の例では、深部掘削がなされたこと、ボアホールテレビュア検層が実施されたこと、岩石コアが採取、保管されていたことが相まって、原位置地殻応力の値および方位を測定することができました。今後、他の観測井でも同様の手法により、日本列島広域での原位置地殻応力の測定に向けた先達となりましたPoint■原位置地殻応力は地震発生に関わる重要な物理量。■大阪平野地震観測井の岩石コアと孔内検層データを利用。■日本列島広域の原位置地殻応力測定への適用。概要地殻の原位置地殻応力(絶対応力)は地震発生過程やテクトニック変動を理解する上で、最重要な物理量です。しかし、測定手法の困難さもあって、圧倒的に測定データが乏しい現実があります。本研究では、これまでの手法に比べて、手間がかからず、単純な理論にもとづく手法による原位置地殻応力測定の例を示します。掘削で円柱状に切り出された岩石コアは、採取直後に応力開放にともない断面が楕円状に弾性変形します。岩石コア断面の弾性変形を計測し、岩石の弾性定数とあわせて、原位置地殻応力値(正確には差応力値)が求まります。また、掘削時、孔壁にかかる応力集中により、孔壁の一部が崩れ、孔径が拡大する現象(ボアホールブレイクアウト)が見られる場合があります。孔壁画像検層(ボアホールテレビュア検層)で、深度方向に縦に筋が写る崩壊部分の方位から、原位置地殻応力方位が決まります。前者をコア変形法、後者をボアホールブレイクアウト法といいます。近畿地方には、多くの活断層が分布し、歴史的に地震活動が活発であるため、地震、地殻変動、地下水等、密に観測が進められています。今回、新たに、防災科学技術研究所のHi-net観測網で、大阪平野にある地震観測井でコア変形法とボアホールブレイクアウト法を適用して地殻応力値を測定しました。大阪府の此花観測井の基盤に達する深度2035.5mコアと田尻観測井の同じく基盤となる深度1202.4mおよび1494.8m今後の展望・方向性○深部地震観測井での岩石コア解析(コア変形法)と孔内検層データ解析(ボアホールブレイクアウト法)を適用した手法により、原位置地殻応力が測定される実績が得られた。○他の観測井へ同様の手法を適用することで、日本列島内陸の広域で原位置地殻応力測定していくことが現実的となった。○原位置地殻応力測定データにより、地殻応力の変化から、地震発生に至る地殻活動の変化をとらえること、現在の地殻応力状態と活断層の活動との関係をとらえること、地震発生を長期的に予測するパラメーターとしてとらえること、などが議論できる。○原位置地殻応力データが増えれば、GNSSデータ、地震データを組み合わせた、地殻内の応力分布と、応力蓄積・解放のモデル化に有効である。大阪平野基盤における原位置地殻応力-観測井岩石コア,検層データの活用-地震津波防災研究部門小村健太朗

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