令和3年度成果発表会
38/158

2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会D95D300degD250degD450deg左上︓D95(95%の微小地震が起きた領域の下限の深さ)(色)、本震の震央(赤星)、本震を起こした推定断層(赤線)、本震のF-netによるメカニズム解(震源球)左中︓推定断層断面図に沿ったD95(赤線)、本震の震源(赤星)、本震前の微小地震(灰色の点)左下︓推定断層断面図に沿ったP波速度構造(Matsubara et al., 2019)右上︓D300deg(色)、本震の震央(赤星)、本震を起こした推定断層(黒線)右中︓推定断層断面図に沿った地殻温度が250, 300, 450˚C(D250deg, D300deg, D450deg)に達する深さ(青線)、本震の震源(赤星)、本震後の地震(黒点)右下︓推定断層断面図に沿ったP/S波速度構造(Matsubara et al., 2019)↑図︓結果(2004年新潟県中越地震の例)ー日本列島の微小地震と地殻温度構造から分かることー震源断層の面積は地震の規模(マグニチュード)に深く関連しています。しかし、震源断層は地下深くにあるため、直接見る事はできません。そこで過去の地震活動と地殻内の温度構造をヒントに、地殻内で地震を起こすことが可能な層(地震発生層)の下端の深さを推定しました。本研究では、地震発生層の深さを、地震が起こる前に推定することができるかを検討しました。地震発生層を把握する事により、今後、起こり得る地震の最大規模を予測できるようになります。まずは、JUICEカタログによるこれまでの地震活動と地殻内の温度構造から、今後起こり得る地震の情報を得ることができるのか︖日本列島で過去に実際に起きた5つの内陸地震と比較して検証しました。(既存のJUICEカタログにない期間の震源に関しては震源再決定をして補完しました。)ある地点の地下で発生した全地震のうち、浅い方から数えて95%の地震が発生した深さをD95と呼んでいます。図に示した通り、D95と実際に発生した新潟県中越地震の地震活動と比較したところ、D95よりも浅い領域で発生していることがわかりました。また、地殻温度が300-450˚Cとなる深さのパターンがD95と類似していたり、重なっていたりする傾向もわかりました。これらの結果は、他にも実際に起きた内陸地震(2003年宮城県北部、2008年岩手・宮城、2016年熊本、2016年鳥取)に見られ、日本列島で定常的に起きている微小地震の分布や地殻内の温度は、地震発生層の深さ推定に有意義な情報を与えてくれることがわかりました。今後の展望・方向性それぞれの震源断層の周辺で地震発生層の深さが違っていることも分かりました。これは、地域によって起こり得る地震の最大規模が異なることを意味しています。各地域で発生する地震の最大規模を知るには、Hi-netをはじめとして、複数の機関、自治体、大学などで長く観測が続けられてきた微小地震の記録や、温度の観測記録を最大限に利用することが必要であることが分かってきました。それぞれの地域で起きる最大規模の地震を知ることで、今後の直下型地震に対するレジリエンスの向上に貢献したいと思います。ポスター賞地震津波防災研究部門地震津波火山ネットワークセンターヤノトモコエリザベス概要私たちは高感度地震観測網(Hi-net)で観測された膨大な地震観測記録を基に、地震の発生位置や規模等を取りまとめた地震カタログ(JUICEカタログ)の構築を行っています。この地震カタログの活用の一環として、地殻内で発生する地震の規模推定に関する研究を行っています。Point■JUICEカタログを活用した最大地震規模の推定■微小地震記録と温度観測による地下構造の抽出■内陸直下型地震を対象としたレジリエンス向上へ貢献起こり得る地震の最大規模の推定へ

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る