令和3年度成果発表会
40/158

2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会火山観測網の地震計データから推定した、3つの噴火の噴火微動。噴火によって強さ振幅の大きさ、継続時間が違います。振幅が大きく継続時間が長い噴火が規模の大きい噴火です。ョン技術等を組み合わせることで、噴火の規模から被害の発生をある程度予測できるようになると考えています。この手法は、広域の観測網のデータを使用していますので、大規模噴火によって火山周辺の観測点が故障しても、影響なく使うことができます。大規模な噴火が発生すると、被害の把握に時間がかかり、把握の遅れが被害の拡大につながる恐れがあります。被害の発生を早期に把握することで、防災対応の初動を早め、被害の拡大を防ぎます。もう一つは、噴火のカタログが得られるということです。噴火のカタログとは、噴火の発生時刻、発生場所、継続時間、規模などのリストです。目視に頼った噴火の観測では、正しいカタログができませんでした。正確な噴火カタログが得られれば、そのデータをもとに統計的な解析を行い、噴火の確率的な予測ができるようになる可能性があります。火山防災研究部門上田英樹概要火山噴火が起こると噴石や火山灰などが火口から噴出し、周辺で被害が発生する場合があります。噴火の発生後、被害の拡大を防ぐためには、迅速に救助作業や復旧作業をする必要があります。しかし、現在は目視やライブカメラなどで噴煙を確認することで噴火の発生や規模の把握が行われており、天気が悪かったり夜に発生した場合は、正確に把握ができません。本研究では、火山観測網のセンサーにより噴火に伴う火山性微動と気圧変化を捉え、リアルタイムで噴火の規模と継続時間を推定する手法を開発しました。この観測網を用いる方法では、天気や時間帯によらず、噴火の発生とその規模を推定できます。図1は、2011年1月に霧島山新燃岳、2021年8月に福徳岡ノ場、2021年10月に阿蘇山で発生した噴火による噴火微動(噴火に伴う火山性微動)を図示したものです。これらは、広域の複数の観測点の地震計データを使って、火口付近での揺れの大きさに換算しています。比較すると、振幅の大きさや継続期間がかなり違うことが分かります。振幅が大きく継続時間が長い噴火は、規模が大きい噴火であることを示しています。それぞれの噴火によって放出された噴出物の量(溶岩を除く)は、数千万トン、数億トン、1万5千トンと推定されています。リアルタイムでこれを把握することによって、噴火の発生や規模を素早く知ることができます。今後の展望・方向性噴火の規模や継続時間を目視ではなく火山観測網で観測し把握することには、主に2つ利点があります。1つは、噴火の発生と規模をリアルタイムで把握することによって、素早い防災対応をとることができる点です。過去の噴火災害の経験やシミュレーシPoint■噴火による被害の拡大を防ぐには、迅速な噴火の把握が必要■火山観測網により噴火の規模や継続時間をリアルタイムで推定■噴火の把握、被害の早期予測、噴火の確率予測の研究に活用火山観測網による噴火の早期把握

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る