令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会衛星SARより高い時間分解能で地殻変動を計測することを目的として開発している可搬型レーダー干渉計SARから得られた新燃岳火口の隆起と沈降SARから推定した阿蘇山2021年10月20日噴火における顕著な降灰車載方式台車方式地上設置方式手動方式に関係した地殻変動のモニタリングも可能にします。このような有用な地殻変動情報を火山活動把握、火山活動メカニズムの理解、火山発生予測のさらなる高度化につなげることを目的として、SAR観測・解析技術の開発を進めています。レーダー波を照射して観測するレーダー干渉計の開発を進めます。さらに、SARを用いて降灰情報等も得る技術開発も進めます。このように、火山活動把握、火山発生予測の高度化に資することを目的とし、さらなるSAR観測・解析技術の開発を進め、予測・情報力の強化を目指します。火山防災研究部門小澤拓概要火山災害に関する情報を的確に発信するためには、観測情報に基づいて火山活動を正確に把握することが重要です。特に、地殻変動は、火山下におけるマグマや水の移動を把握するうえで重要な観測情報の一つです。最近では、多くの火山にGNSS等の観測網が構築され、地殻変動を定常的にモニタリングできるようになりましたが、火山活動に伴う地殻変動は空間的に複雑な場合があり、その全容を把握するためには、これらの“点”での観測だけでは不十分です。その不十分を補うため、合成開口レーダー(SAR)を用いた地殻変動観測技術の開発を進めています。SARは人工衛星等に搭載されるレーダーセンサーであり、2時期に観測されたSAR画像を解析することにより、その期間に生じた地殻変動を画像のように捉えることができます。また、現地観測を必要としないので、火口のような立ち入り困難な場所の観測も可能という利点もあります。衛星SARを用いて新燃岳火口内の地殻変動を調査した事例においては、2011年の噴火が終息して以降、約6年にもわたってゆっくりとした隆起が継続し、2017年噴火の直前においては、急激に沈降が生じるという現象が発見されました。SARは、このような火口周辺で生じる火山活動に密接今後の展望・方向性衛星SARは、解析技術やセンサーの高度化により、現在では有用な地殻変動検出ツールの一つとして用いられています。このような地殻変動情報をより効率的に火山活動把握に役立てるため、これまでに開発した解析手法を組み込んだ自動解析システムを構築し、SARによる地殻変動情報のデータベース化を進めます。また、より高い時間分解能で地殻変動を得るため、地上からPoint■火山活動を正確に把握するため、精密に地殻変動を観測したい。■新たな地殻変動現象を発見し、活動メカニズムの理解を深めたい。■新たな観測技術を開発し、様々な現象を観測できるようにしたい。離れた場所から火山の動きを観測する

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