令和3年度成果発表会
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今回の成果: 噴火口位置については1点に固定し噴火規模のみの任意の確率噴出体積𝑉𝑉0(噴火規模)の下限と上限の基準を定めるべき(下限設定における問題点:経験的べき乗則が𝑉𝑉0<106m3で成り立つか不明.上限設定における問題点:各火山の過去の最大𝑉𝑉0を設定すべきか,世界の過去の最大𝑉𝑉0を設定すべきか.)噴火口位置についても確率的に評価すべき(既存の経験的べき乗則は噴出体積𝑉𝑉0のみの関数であり時空間積分されているが,それを空間微分した空間と𝑉𝑉0の関数として表現できれば,𝑉𝑉0(噴火規模)と噴火口位置の両方を加味した確率論的ハザードマッピングが可能.)2022.2.28令和3年度成果発表会図:火砕流の確率論的ハザードマップ(計算で使用した地形データはNHK提供)(a) 噴火規模の一様分布𝑁𝑁𝑉𝑉0=constを仮定(b) 噴火規模の経験的べき乗則𝑁𝑁(𝑉𝑉0)∝𝑉𝑉0−3/4を適用特に,火砕流到達範囲を強く支配する噴火条件である「噴火規模(噴出体積𝑉𝑉0)」と「噴火口位現在「噴火規模(噴出体積𝑉𝑉0)」と「噴火口位置」の両方に対する確率分布は得られていないため,ここでは,𝑉𝑉0のみに対する任意の確率分布𝑁𝑁(𝑉𝑉0)を使用し噴火口位置については1点に固定①指数部に対して等間隔でサンプリングした様々な𝑉𝑉0の火砕流の数値シミュレーション(志水2021火山学会)を行い,各𝑉𝑉0に対する到達範囲を推定②①の各𝑉𝑉0の結果の各地点の値に𝑁𝑁𝑉𝑉0/Σ𝑉𝑉0𝑁𝑁(𝑉𝑉0)を掛けることで重みづけ③②の各𝑉𝑉0の結果を全て足し合わす桜島昭和火口からの噴火(𝑉𝑉0=105−107.5m3)を想定し,𝑉𝑉0の確率分布を一様分布𝑁𝑁𝑉𝑉0=constと仮定する場合,図(a)の結果が得られる.一方,各火山において地質学的時間スケールで成り立つ経験的べき乗則𝑁𝑁(𝑉𝑉0)∝𝑉𝑉0−3/4(e.g., 中田2015火山)を適用する場合,置」の取り扱いが火山によって異なる.この問題を解決するために,本研究では,これらの噴火条件の確率分布と火砕流到達範囲の数値シミュレーション結果を組み合わせる確率論的ハザードマッピング手法の確立を目指す.するハザードマッピング手法を試作版として示す.(到達範囲の地点を1,それ以外を0としたマップを作成)図(b)の結果が得られる.図(b)では,到達範囲が狭い小規模な火砕流は高頻度で,到達範囲が広い大規模な火砕流は低頻度で発生するという一般的性質が強く反映される.分布を用いたハザードマッピング手法を試作版として提案(共同研究者:雪氷防災研究部門田邊章洋)(a)𝑁𝑁𝑉𝑉0=const(b)𝑁𝑁(𝑉𝑉0)∝𝑉𝑉0−3/4Point長期的目標: 噴火条件(噴火規模と噴火口位置)の確率分布と火砕流到達範囲の数値シミュレーション結果を組み合わせる確率論的ハザードマッピング手法の確立概要火砕流の数値シミュレーションに基づく火砕流到達範囲のハザードマップは全国の多くの火山に対して作成されているが,その作成手法には十分な統一基準が定められていないという問題がある.今後の展望・方向性今回提案した手法を高度化することにより,全国の火山の火砕流ハザードマッピングにおける噴火条件(噴火規模と噴火口位置)の取り扱いに対して統一基準を定めることが可能となる.現段階で考えらえる高度化すべき点や問題点は以下の2つになる.火砕流の確率論的ハザードマッピング手法の提案火山研究推進センター志水宏行

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