令和3年度成果発表会
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]%[]秒[率化変度速波震地量れず計時2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会図1. (a)時計ずれによる⾒かけの地震波速度変化を検出した例。(b) 時計ずれの震源決定結果への影響。図2. (a)時計ずれが⽣じている⽇の地震波ノイズの相互相関関数の波形(オレンジ)と基準⽇(時計ずれなし)の波形(⻘)の⽐較。(b) 時計ずれが⽣じていない⽇の波形同⼠の⽐較。(c) 時計ずれ量のモニタリング結果の例。(d) 50⽕⼭のマップ。時計ずれが発⽣した⽕⼭は⾚三⾓で⽰す。0.5秒の時計ずれ時計ずれによる位相ずれ時計遅れ時計ずれにより地震波が2観測点間を伝播するのにかかる時間が見かけ上変化→見かけの地震波速度変化1秒の時計ずれ時計ずれが無い場合の震源時計ずれが生じた場合の震源(a)(b)(a)(c)(b)(d)⻑期間にわたり地震観測を⾏なっていると,観測期間中に観測点の時計がずれることがあります。観測点の時計ずれは地下の地震波速度のモニタリングや地震の震源決定などの様々な地震学的解析の結果に影響します(図1)。観測点の時計がずれていないかを監視しておくことは重要ですが,観測点の時計がずれているかどうかは地震波形を⾒ただけでは判別が困難であるため,⼈の⽬に頼らない検知⽅法が必要とされています。2つの観測点で同時刻に記録された地震波ノイズの相互相関関数を計算することで,2点間を伝わる擬似的な地震波形を抽出することができます。ある⽇の地震波ノイズの相互相関関数と時計がずれていない⽇の地震波ノイズの相互相関関数の間で位相(波の⼭・⾕)がずれていないかどうかを調べることで,その⽇の観測点の時計がずれていないかを調べることができます。図2 aのオレンジ⾊の波形は,時計がずれている⽇の地震波ノイズの相互相関関数です。時計ずれがない⽇の波形(⻘⾊)と⽐較して波形全体で位相が3秒ほどずれていることがわかります。⼀⽅,観測点の時計に異常がなければ,図2bのように異なる⽇の地震波ノイズの相互相関関数の位相は概ね⼀致します。観測点ペアごとに得られる相互相関関数波形の時間ずれ量のデータから観測点ごとの時計ずれ量をインバージョンで推定することで,観測点の時計の状態を常時モニタリングすることができます(図2c)。現在は国内の50⽕⼭に設置されている防災科研V-net(⼀部Hi-netも使⽤)・気象庁の地震計データを⽤いていますが,Hi-net,F-netなどの他の観測網での適⽤を進めることで,防災科研が提供する様々な観測網のデータの品質保証に貢献できると考えています。このような解析を国内の50⽕⼭(常時観測⽕⼭)において⾏ったところ,2020年1⽉1⽇から2021年12⽉5⽇までの約2年の間に,8⽕⼭15観測点で時計ずれが⽣じていたことがわかりました(図2d)。概要今後の展望・⽅向性Point■地震記録の正確な時刻情報は様々な地震学的解析に必要■観測点の時計ずれ発⽣は地震波形を⾒ただけでは判別が困難■地震波ノイズの相互相関関数を⽤いると時計ずれを検知可能地震波ノイズを使って観測点の時計ずれを検知する所属名⽕⼭研究推進センター⽒名廣瀬郁

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