令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会図1令和3年台風第8号と類似した経路の過去の台風(https://mizu.bosai.go.jp/wiki2/wiki.cgi)図2令和3年台風第8号左図:経路(気象庁ベストトラック)と上陸前の気圧分布(NCEP/NCAR再解析)、図3d4PDFによる台風の例左図:経路と上陸付近の気圧分布、右図:3日間積算雨量右図:3日間積算雨量(AMeDAS)ます。東北地方の各県について解析を進め、また地球温暖化時における変化などについても調べていきたいと考えております。所属名水・土砂防災研究部門氏名栢原孝浩Point■東北地方太平洋側から上陸する台風は、1951年以来見られなかったが、平成28年台風第10号は岩手県に上陸、令和3年台風第8号は宮城県に上陸した。■経路の稀な台風について調べるため、多数のアンサンブル実験を行ったd4PDFの結果を用いる。概要防災科研では、接近中の台風に対して、類似した経路の過去の台風として、どのような台風があったかを取りまとめた情報をホームページで公開しています。また、台風災害データベースとして、台風毎にその概要と都道府県単位の被害状況について1ページで取りまとめたデータベースと、市町村単位の被害情報も含むデータベースも公開しています。平成28年台風第10号は、気象庁が1951年に統計を開始して以来、初めての東北地方太平洋側に上陸した台風となり、令和3年台風第8号は宮城県に始めて上陸した台風となりました。このようにまれな台風は、過去の台風情報がないため、例えば令和3年台風第8号と類似した経路の過去の台風ページでは岩手県や千葉県に上陸した台風を示しています(図1)。高解像度全球大気モデルおよび高解像度領域大気モデルを用いて、多数のアンサンブル実験を行うことで、まれにしか発生しない極端な気象現象を再現することができるようになりました「地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベースd4PDF(database for Policy Decision making for Future climate change)」(Mizuta et al., 2017)を利用して、東北地方太平洋側に上陸する台風を調べました。令和3年台風第8号(図2)と、高解像度領域大気モデルの過去実験(1951年から60年分、各年50アンサンブル実験)による、宮城県の太平洋沿岸から上陸する台風の例を示します(図3)。今後の展望・方向性これまで経験のない経路を持つ台風についても、気候モデルによって再現された経路や雨量分布の情報を利用することで、接近中の台風に関する参考情報として示すことができるようになり宮城県に上陸する台風

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