令和3年度成果発表会
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量位変( mm)02019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会デプスカメラ直接計測するセンサ崩壊時「0」とした時間(秒)302520151050-5-240-180-120-60図1デプスカメラによる計測(左上:RGB画像、右上:距離画像、下:変位量の比較)デプスカメラで撮影した距離画像データから斜面の変位量に換算した結果と斜面を直接計測したセンサの変位量の結果を図1に示します。デプスカメラによる計測は、斜面が崩壊する前からの微小な変位を捉えることが可能であり、また、直接計測したセンサと同様の変位量を示したことから、デプスカメラを用いた斜面の変位計測による安全監視は、十分可能であることが示されました。以上のことから、デプスカメラによる変位計測は、土砂災害現場における救助活動時のような、時間的に切迫した状況や自身の安全も確保しなければならない環境での支援ツールとしても有効であると言えます。一方で、計測距離の限界があることから、今後、画像処置技術を駆使して、より精度の高い変位量への変換技術を開発し、より広域な安全監視を行うことを目指します。水・土砂防災研究部門檀上徹・石澤友浩概要土砂災害現場での救助活動者は常に身の危険と隣り合わせにあるため、二次災害の発生を予測する技術が必要であると言われています。総務省消防庁の警防活動時等における安全管理マニュアルの中では、土砂災害時の救助活動中の安全管理において、安全監視員を配置して目視により土砂災害の兆候がないかを注視し、危険があれば注意喚起や退避命令を行うことを基本として示されています。しかし、土砂災害発生の兆候は多様であり、発生の直前までは変化も微小なものであるため、すべてを目視のみで把握することは困難です。また、活動が長時間にわたる場合、安全監視員の交替が行われるため、活動初期からの一貫した変化や異変を把握することは難しくなり、目視による安全監視には限界があります。現場での救助活動に求められる即応性、設置の容易さ、広範囲の安全監視、専門知識が不要な計測手法を念頭に考慮し、容易にリアルタイムで非接触の距離計測が可能なデプスカメラに着目しました。デプスカメラとは、カメラからの奥行き距離を計測して距離画像データとして出力することができる機器です。今後の展望・方向性防災科研が所有する大型降雨実験施設内に、実物大規模の模型斜面(高さ5.0m、幅3.9m、斜面長10.0m)を作製し、降雨に伴う崩壊実験を行いました。デプスカメラにより計測された斜面の地表面変位量を検証するため、地表面変位量を直接計測するセンサも設置し、得られたデータを比較することで、デプスカメラの有用性を検証しました。Point■土砂災害時の救助活動における安全監視■専門知識が不要、設置が容易な計測機器の活用■デプスカメラの距離画像データを用いた斜面の変位計測の有効性斜面安全監視に向けたデプスカメラの活用

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