令和3年度成果発表会
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ABC2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会図1UAV測量による全層雪崩発生後の雪崩観測サイトの積雪深およびデブリ堆積深の分布計測結果a) 全層雪崩のオルソ画像c) a)の破線状の堆積深プロファイルb) 全層雪崩の積雪深およびデブリ堆積深の分布2021年2月12日に雪崩観測サイトで発生した全層雪崩のUAV測量結果を図1に示す.図1aは全層雪崩の様子を俯瞰した様子で,図1bは同範囲の積雪深およびデブリ堆積深の分布図である.図1cは図1bから図1aの波線上の堆積深プロファイルを示したものである.A地点は雪庇部分で成長が著しく積雪深は3.7m,A-B間は走路区で積雪がなくなっている.B-C間は堆積区でその厚さは4mとなっている.C地の周辺の積雪深が2mであることから,雪崩てきた積雪の深さは2mと見積もられた.また,定期的に雪崩発生危険箇所でUAV測量を行うことで,雪崩発生の前兆となる,雪庇,クラックの発生・成長の様子や数十cm程度の雪しわの様子を把握することも可能と考えられる.更に,雪崩運動モデルの精度向上のための検証データとしても有用である.引き続きデータ収集を行なっていく予定である.雪氷防災研究部門安達聖荒川逸人概要近年,無人航空機(UAV)を使用した航空測量が急速に普及し,手軽に3次元情報を入手できるようになり,雪氷研究においても,積雪深分布調査や広域な雪崩調査などに使用されている.しかし,積雪深やデブリ堆積深を正確に求めるためには,高い精度を持つ数値表層モデル(DSM)の作成が必要である.このためには,事前に基準点を測量したり,多数の標定点を設置したりする必要がある.雪氷災害のように突発的な現場においては,このような事前準備をすることはほぼ不可能である.事前準備がなくとも高精度なDSMを取得可能である後処理キネマティック(PPK)を使用し,積雪深やデブリ堆積深の計測をを行ったので報告する.UAV測量は山形県大蔵村の雪崩観測サイトで行った.雪崩観測サイトには斜面監視用のWEBカメラが設置されており,斜面の様子を1時間ごとに斜面の様子を記録している.WEBカメラにより雪崩の発生が確認された翌日にUAV測量を行った.また,雪崩観測サイトの斜面上方には積雪深計が設置されおり,これを積雪深の精度検証に使用した.2020/2021冬期では4度のUAV測量を行った.DSMから求めた積雪深と積雪深計の値を比較したところ,DSMから求めた積雪深が平均して5cmだけ大きい結果となり高い精度を示した.今後の展望・方向性PPKを使用したUAV測量では既知の基準点は標定点がなくとも誤差5cm程度の高い精度で積雪深分布が得られることが確認された.積雪深分布が得られることで,不明瞭な走路や破断面を持つような,写真だけからは判別が難しい場合でも,雪崩の正確な形状を把握できることが期待できる.Point■広範囲の積雪深分布の計測■雪崩発生斜面の監視や調査■雪崩運動モデルの検証データの収集UAV測量による雪崩のデブリ堆積深計測

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