令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会図推定した(左)スキー場全域の風速分布と(中)吹きだまり分布。(右)四角囲みの位置での吹きだまりの写真。庇のような形状なので雪庇と呼ばれる。雪崩は斜面に積もった雪が何らかの原因で不安定になり、目に見える速さで斜面を滑り落ちる自然現象です。斜面上に雪が積もる要因として、自然な降雪と吹雪など風による吹きだまり・雪庇が挙げられます。吹きだまり・雪庇とは、風が強いところで吹き払われた雪が、尾根など風速が急減する場所で落とされて、たまってできる積雪のことを指します。このような作用で積もった雪は、雪荷重の急増や雪同士の弱い結合を引き起こし雪崩の原因となりえます。そのためスキー場管理者はこれらの安定性を調べたり、小さいうちに壊すなどの管理をしています。本研究ではスキー場に数点設置した観測点のデータを使って、“どこに吹きだまり・雪庇ができているか?”を推定し、スキー場管理者の方へ提供する実装実験を行っています。吹きだまり・雪庇は風に吹かれた雪が形成するので、まずはスキー場全域の風速を推定します(左図)。次に、風で運ばれる雪量と風速の関係を仮定して、推定した風速に従って雪の輸送量を計算し、吹きだまりが形成される場所を推定します(中図)。実際にスキー場での写真と比較すると計算で吹きだまりが発達すると推定された箇所に吹きだまりが形成される様子が確認されました(右図)。今後の展望・方向性現在スキー場管理者の方に情報を提供してモデルの妥当性の検証や表示方法・使いやすさの改良を行っています。また、大規模な航空測量を行うことで定量的な比較データも取得する予定です。このような科学的な手法に基づく雪崩管理方法を確立し、事故のない安全な冬季レジャー情報の発信を行っていきます。そして、このような吹きだまり推定システムを標準化し、国内外のスキー場への展開を目指します。推定風速分布推定吹きだまり分布雪庇雪氷防災研究部門田邊章洋・砂子宗次朗・伊藤陽一・山口悟概要雪国の厄介者である雪は、同時にスキーやスノーボードなどの観光資源としても活用されています。このようなレジャーでは安全性が最重要課題ですが、雪山では雪崩が発生するリスクもあります。雪崩リスクを低減させるために、スキー場は雪崩が発生しそうな場所の見回りや管理をしています。本研究ではスキー場の雪崩事故を予防するために、どこでどのくらいの雪がたまるか?という情報を可視化するシステムの構築を行っています。Point■雪崩発生危険度を推定するモデル開発■スキー場管理者等と共に試験運用を行いモデルの妥当性評価と表示方法の改善実施スキー場を対象にした雪崩危険度推定

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