令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会2021年1月8日前後の新潟県上越市の降雪粒子観測結果と降雪分布などとの対応防災科学技術研究所ではディスドロメーター観測からほぼリアルタイムで粒子判別を行った速報を公開(URLは右の二次元バーコード)しており、これを気象レーダーによる降雪量推定に応用する研究を進めています。大雪の期間の中で、降るものは一定ではなく変化します。下図の期間2では霰が多かったのですが、期間3は雪片と小さい粒子が多く観測されました。期間2は筋雲の1種で“Tモード”と呼ばれるもの、期間3はJPCZ(日本海上で顕著に風がぶつかるゾーン)の発達した積乱雲による降雪でした。期間3のような雪雲は強い降雪となりやすく、雲粒が付いた重い雪や多量の小さい粒子が降ることは新潟県ではしばしば観測されます。雪氷防災研究部門中井専人概要「ディスドロメーター」とは降水粒子を自動測定する機器の一般的な名称であり、降雪の観測には平行光やレーザー光を用いたものが使われます。このような光学式のディスドロメーターで普及型のものは、投光器と受光器の間でレーザー光を1枚のシート状にして送受信し、降雪粒子がそのレーザーシートを遮る横幅と時間を測定します。この測定値から降雪粒子の粒径、落下速度が算出されます。計測上の制約や仮定があるためこの測定から降水強度を算出するのはやや難しいですが、降雪粒子の分類には適しています。また、可動部がなく堅牢でヒーター組み込みで着雪欠測が起きにくいため、冬期間近づけない場所で連続観測して気象レーダーと準リアルタイムで比較することが可能です。2021年1月6日から15日にかけて、本州中部日本海側では交通障害,休校,住宅損壊などの被害が多発しました。新潟県上越市(高田(気象庁))においては6,12,24,48時間降雪量が統計開始以来の極値を更新し、その全てが1月8日を起時(積算開始の時刻)としていました。この1月8日前後の降雪について、防災科学技術研究所の上越観測点では光学式ディスドロメーターを用いた降雪粒子観測値を得ることができました。今後の展望・方向性この事例で上越を中心とした積算降水量が特に大きい領域は数十km四方であり、”集中”豪雪の様相を示していました。大雪をもたらした雪雲のパターンは、筋雲、渦状雲、太い帯状の雲など変化しており、単一の特定の形の雪雲ではありませんでした。雪雲の形の変化に伴って降る粒子も変化していたことがこの観測では示されています。Point■「ディスドロメーター」を用いた降雪粒子の観測■降雪強度が強い時には「重い雪」「小さい雪」が「たくさん」■気象レーダーによる降雪量推定への応用に期待「大雪」時には何が降っているか?

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