令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会図2現地調査の様子。アメダス古川周辺の平坦地にて実施(降積雪状況の確認、積雪深や積雪構造の観測、周辺地域の道路における吹きだまりの発生状況など)。吹雪、吹きだまり状況路肩の吹きだまり(除雪後)図1吹雪時における視程障害、吹きだまりの様子。吹きだまりの雪質観測図3調査時においては当該事故の影響や、継続的に発生している降雪や吹雪、その他つるつる路面などの影響で一般道の広範においても渋滞や通行規制・通行止めが発生していた。調査は安全に最大限に配慮し、かつ現地の交通環境を阻害しないよう十分な注意を払い、事故発生地点の近傍までの移動は控えたほか、積雪断面観測についてはアメダス古川の所在地点付近の、交通を阻害しない、安全な場所にて実施した。図5気象要素の時系列(アメダス古川)。縦の点線は1月19日12時(正午)に対応。図6宮城県、山形県周辺の地図および色別標高図。白丸印は多重衝突事故発生地点付近に対応。地理院地図(電子国土Web)(国土地理院)を利用。積雪断面観測高速道路閉鎖に伴う周辺道路混雑の状況つるつる路面平坦地で実施した積雪観測(図4)では、積雪深は0.20 m~0.25 m 程度で、表面が氷板(クラスト)で内部はざらめ雪などである一方、吹きだまり内部ではこれらの雪以外に新雪が見られるなど、新たな降図4積雪断面観測結果(アメダス雪が吹雪となった可能性が示唆されました。古川付近の平坦地にて実施)アメダス古川で観測された気象要素の時間変化(図5)では、当日明け方に低温下でまとまった降水(降雪)があり、その後正午にかけて風が著しく増加して強い吹雪の発生臨界(8~10 m/s程度)を大きく超過、正午に最大瞬間値で27.8 m/sに達しています。正午には積雪深が急激に減少し、降り積もった新雪がすべて風によって飛ばされて吹雪となった可能性があります。雪氷防災研究部門根本征樹概要吹雪や暴風雪は、雪国において深刻な交通障害を引き起こすなど、大変危険な現象です。特に、吹雪で視界が遮られる視程障害は多重衝突事故の原因となったり、吹雪による吹きだまりは車両の立ち往生を引き起こします(図1)。2021年1月19日の正午ごろ、宮城県大崎市古川の東北自動車道下り線で、約140台の車両が関係する多重衝突事故が発生しました。この事故は東北地方の広範にわたり発生した非常に強い風による吹雪とそれによる著しい視程障害が原因となりました。防災科研では災害発生当日に現地付近で積雪調査を実施したほか(図2、3)、気象庁の地域気象観測システム(アメダス)などの気象データに基づく解析などから、吹雪の発生状況やその要因に関して分析しています。道路状況(アメダス古川付近)Point■吹雪・暴風雪は、視程障害や吹きだまりの要因となる危険な現象。■2021年1月19日には宮城県大崎市で大規模な吹雪事故が発生。■低温、降雪、その後の強風は強い吹雪が起きやすいパターン。地形にも注意が必要。今後の展望・方向性現地でこの様な強い吹雪が発生した要因として、事故当日に低温、積雪、降雪、著しい強風といった、強い吹雪の発生条件が重なっていたことや、当該地域が冬期の西風の吹き込みを受けやすい地形となっていることがあります(図6)。こうした災害事例を十分に検証するとともに、予測情報の活用も考慮し、吹雪・暴風雪災害を未然に防ぐための手段を検討します。危険な吹雪が起きやすい条件

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