令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会図健康診断になぞらえた都市サイバーフィジカルシステム(都市CPS)の概要私たちの住む都市空間は大地震の危険にさらされており、その備えが必要である。しかし、十分な備えであるかの判断は難しい。そこで、私たちの体の健康診断のように、都市の地震への強さ(レジリエンス)を評価する、いわば、「都市の健康診断」が必要である(図)。すなわち、都市をセンシングしてデータを集め(検査に相当)分析し(診断に相当)、その結果を踏まえて対策をとる(運動・手術に相当)ことで、地震に強い都市が実現できる。この仕組みの実現のため、フィジカル空間にある都市とその分析を担うサイバー空間から構成されるサイバーフィジカルシステム(都市CPS)の開発を進めており、その構想を紹介する。検査にあたるのが、都市データを収集し次の分析に使用できるように準備するプロセスである。都市データとして、設計書など様々な情報があるが、シミュレーションにはそのままでは使用できない。データを集約・変換・生成し、さらに、統合して都市全体のシミュレーションモデルをつくる「データ生成プロセス」を構築する。また、都市の実態を知る必要があるため、建物につけたセンサーで状態を分析し、都市モデルに反映する手法も組み込む。診断にあたるのが、地震に対する都市の挙動の「シミュレーション予測」である。ここでは、目的に合わせ一つの建物や都市として定義する必要がある。その定義方法、および、都市CPS適用対象における合意形成の検討が必要である。また、都市CPSの社会における活用形態(ユースケース)を具体化し、その結果を開発構想にフィードバックを図る。特に、診断ツールとして、維持管理しサービス提供するためには、多くの関係者が関わるため、エコシステム構築が必要である。全体など、様々なシミュレーションを可能とする。シミュレーション予測で十分な地震へのレジリエンスをもつ「あるべき状態」を把握して、現状からの改善の方向を発見し提示する。対策である運動や手術にあたるのが「耐震技術」であり、現在も多くの研究開発が進められている。地震減災実験研究部門では、10階建てビルを載せて地震を再現できる、世界最大の実験設備(通称、E-ディフェンス)を運営しており、当部門の研究への活用のみならず、共用設備として世界中の研究者に開放し新しい耐震技術の開発を支援する。地震減災実験研究部門堀内敏彦概要今後の展望・方向性都市CPSの構想を立案するとともに、その構築に必要な技術の仕様明確化を進めている。すでに構造物の高精度シミュレーション技術などの重要な要素については当部門で開発に着手しているが、防災科研にはない技術も必要であり、大学をはじめとする研究者との共同研究を進める計画である。シミュレーション予測をベースとした防災・減災施策を推進するには、都市のレジリエンスをシミュレーション可能な定量的パラメータPoint■都市のデータを集約する「データ生成プロセス」■災害軽減施策を提示する「シミュレーション予測」■防災・減災を実現する「耐震技術」地震に強い街をつくる都市CPS

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