令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会続いて、学習用データを用いて、物体抽出アルゴリズムYOLOv3による学習を行い、テスト用データの判別を行ったところ、建物や斜面崩壊の箇所を、下図のように目視による判読と大きく乖離しない程度に抽出できていることを確認しました。各建物被害の分類精度を確認したところ、倒壊、損傷、無被害、斜面崩壊4区分の平均では、適合率約77%、再現率約56%、正答率が約65%であり、被害早期把握の観点から許容可能な程度の分類性能を確認できました。※上図の背景には(株)パスコ、国際航業(株)、アジア航測(株)、朝日航洋(株)による(共同)撮影画像を使用しています。※研究内容の詳細については以下の論文をご参照ください。内藤昌平,友澤弘充,森悠史,中村洋光,藤原広行:斜め航空写真と深層学習を用いた建物被害抽出モデルの開発,AI・データサイエンス論文集,Vol.2,No.J2,pp.211-222,2021.マルチハザードリスク評価研究部門内藤昌平概要自然災害による被害の拡大を防止し、復旧を適切に行うためには、被害状況をできるだけ迅速かつ正確に把握することが重要です。とりわけ、ドローンやヘリコプターを用いることにより、人が立ち入ることが難しい危険地域や、現地調査では時間がかかる広域を、比較的高い解像度で観測することを可能にします。本研究ではドローンやヘリコプターを使って撮影された航空写真を用いて、被害箇所を自動抽出する手法を開発しました。対象としたのは地震や突風により被害を受けた建物であり、実用性を考慮し、建物被害は人的被害の危険がある「倒壊」、支援金の対象と想定する「損傷」、それ以下の「無被害」の3区分としました。また、地震による斜面崩壊の領域も抽出可能にしました。教師データとしては2007年中越沖地震、2013年埼玉県突風、2016年熊本地震、2018年胆振東部地震、2019年山形県沖地震の各直後にヘリコプターまたはドローンにより撮影された航空写真371枚を使用し、画像内の建物や斜面崩壊箇所を矩形で囲み、建物被害については目視により被害を3段階に区分した教師データを合計約25万個作成しました。次に、これらを学習用、テスト用に約2:1の割合で分割しました。今後の展望・方向性今後は教師データの追加、ネットワーク構成の変更、パラメーターチューニング等を試行し、性能向上に努めたいと思います。また、LiDARデータ等を活用することにより地震前後の建物の高さ変化を取得し、モデルを高精度化していきたいと考えています。さらに、具体的に官民が実施する災害復旧へ利活用する方法について、各機関と連携してシステム化を目指していきます。Point■ドローン、ヘリコプター画像を活用した被害状況把握■深層学習による高速、高精度な被害抽出■災害の早期復旧に向けた活用を目指す斜め航空写真を用いた建物被害自動抽出

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