令和3年度成果発表会
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lそこで本研究では、ある川の流域(上流に降った⾬がその川の⽔として集まってくる範囲全体)のあらゆる場所について、その場所の上流全体に降った⾬の量の「多さ」を、「めずらしさ」を表す数字(統計学の⽤語で「再現期間」と⾔います)に置き換えて、地図上に表⽰する⼿法を開発しました(下図)。lこの⼿法は、⾬の情報だけに基づいているため、単純で理解しやすく、また、⾬のデータだけあれば地図を作成できるため、⽇本全国、世界中の多数の地域に適⽤できます。lこの声は、2017年10⽉からこれまで4年ほど取り組んでいる、⽔防災に関する市⺠の皆さんとの共同学習(共同研究)ühttps://youtu.be/JipXeiwP7Oclを通じて聴くことのできた、市⺠の皆さんの「⽣のl想定最⼤規模降⾬(1年のうちにその量の⾬が降る確率が0.1%程度のひじょうにめずらしい⼤⾬)についての洪⽔ハザードマップが公表されているのは、対象となっている1,403の市区町村のうち8割程度ですが、ただ単に公表されていればよいというものではありません。l公表されている洪⽔ハザードマップの趣旨や内容について、理解や信頼を得るための取組みが不⼗分なため、それを⽀援する必要があります。l適⽤を進めるなかで、⼿法の検証を重ねて改良し、2019.○○.○○○○○○○○○○○○○32.4°N32.2°NRiversOthers0130.6°E50250Maximum return period of catchment-mean rainfall, year100130.8°E150200131°E3002022.2.28令和3年度成果発表会令和2 (2020) 年7 ⽉豪⾬時の球磨川流域における集⽔域平均⾬量の再現期間最⼤値の地理的分布。声」です。⼿法の適⽤を進めます。性能・信頼性の向上に取り組みます。Point■開発の出発点は、市⺠の皆さんとの共同学習■その場に降る⾬だけではなく、上流全体の⾬が重要■⾬の情報だけに基づく、単純・平易な地図を作成概要l⽔防法に基づいて作成・公表されている洪⽔ハザードマップ、あるいは、その原材料である洪⽔浸⽔想定区域の情報があまりに複雑で難解なため「理解・信頼できない」という市⺠の皆さんの声をよく⽿にします。今後の展望・⽅向性l⽇本のさまざまな川、アジアや世界の川を対象に、多地域に適⽤できる新しい⼤⾬洪⽔ハザードマップの開発⽔・⼟砂防災研究部⾨上⽶良秀⾏

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