令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会図時代別に見た自然災害記録の占める割合進行中の自然災害の類似・反復性の把握には,より詳細な資料からのデータの追加と,発生する最新の災害を含めてデータベースを常に更新し続けることがまず重要である.そのうえで,①災害事例そのものから地域を区分し,日本の災害の特徴を明らかにすること,②予測情報やリアルタイムの災害情報との連携,③過去の災害の記録されやすさからみた,災害資料の特徴と今後の災害アーカイブへの貢献を目指す.これらを進めることによって,地域の防災を担う人材に過去の自然災害への認識力を高め,次の防災対策へ貢献することができると考える.種別の割合が逆転する時期があった点である.より古い時代は地震災害の記録が多く,新しい時代は風水害が占めており,災害の記録されやすさなどの特徴が反映されていると考えられる.災害事例データベースは,特に過去400年程度の自然災害を知ることができるデータベースとなった.一方で,地域防災計画だけでは,情報が不足していることは明白である.試験的に,市町村誌などから災害事例を抽出した結果,4.5倍程度,事例が増加することがわかってきた.詳細な情報が記載された郷土資料を使用することで,本来の目的をより明確に研究できる可能性がある.マルチハザードリスク評価研究部門鈴木比奈子概要地域の災害特性,特に災害の類似・反復性や異なる災害種別間の関連性を把握するには,過去の自然災害を統一的な様式で空間情報化し,網羅的に情報を集約したデータベース(災害事例データベース)を構築することが効果的である.なぜなら,予測情報やリアルタイムの災害情報との共有,災害発生の頻度や関係性,特異性の把握が可能となるからである.そこで過去の災害事例を,日本全国の市区町村が作成した地域防災計画を収集し,データベースを構築した.その結果,災害事例があったのは1384市区町村(79.5%)で,全体に占める災害種別の61.3%が風水害だった.また,事例全体の96.8%が1601年以降の災害だった.特徴的だったのは,江戸時代中期から後期を境に記録される災害今後の展望・方向性Point■地域防災計画から抽出できた災害事例の60%以上が風水害■データ全体の96.8%が1601年以降の災害■災害の記録されやすさの逆転期が江戸時代中期地域防災計画から見る災害事例の変化

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