令和3年度成果発表会
91/158

2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会阿蘇山でのドローンによる写真測量の様子.(11月23日~27日実施)また,令和3年10月20日に阿蘇山が噴火したことから,地元で長年調査・研究を続ける京都大学火山研究センターと連携し,今後の火山活動の見通しを検討し,再度噴火した際に即時的に火砕流,噴石,火山灰の分布範囲を得るための基礎データとして,北海道大学,東京工業大学,産業技術総合研究所とも協力し,4台のドローンを利用して多数の空中写真を撮影し,DSM(Digital Surface Model)の作成をおこなっている.このような経験をまとめ,他の火山においても,噴火発生時の緊急観測の際の研究戦略ををまとめる予定である.また,来年度実施予定の機動観測の実施計画についても,検討を進めている.て成果を上げる必要に迫られている.来年度もその実現を目指して,防災科研が中核になり以下のことを実施する.(1)クロスアポイントメント制度を用いた大学研究者との密な協力体制構築.(2)共同観測で利用する機材,その管理システムの充実.(3)噴火発生時の緊急観測の立案・実施.(4)噴火時の訓練も兼ねた平時の機動観測の実施.火山研究推進センター火山観測研究推進室森田裕一(共同推進者:藤田英輔,中田節也)今後の展望・方向性これまでの日本における火山観測研究は,活動的な火山のそばの観測所で,長年にわたって観測を続けて研究を進める「火山ホームドクター」により成果を上げてきた.しかし,研究者・研究支援者数の減少や大学・研究法人の法人化により,研究基盤が細り,従来のやり方が通用しなくなった.全国の色々な分野の研究者が協力して,火山噴火の際に大規模で戦略的な調査・観測を実施しPoint■防災科研が中核となり火山噴火時に全国の火山研究者の力を結集し,噴火現象の解明を通して火山防災に貢献する仕組みの構築■噴火時以外にも,火山の地下構造等を組織的に調査し,火山噴火予測等を通して火山防災に貢献する仕組みの構築概要【目的】全国に約110の活火山を有する日本では,これまで火山災害により多くの犠牲者を出してきた.火山噴火はマグマの上昇に伴う物理過程と化学過程が複雑に絡みあい,急激に加速して起こる現象である.そのため噴火には色々なタイプがあり,噴火に伴う災害も,溶岩流,火砕流,降灰,火山ガス等多岐にわたる.これまで研究機関により進められてきた観測研究により,気象庁は噴火警報を出せるようになり,噴火発生の予測はある程度まで社会実装ができてきた.しかし,事前に噴火の規模,タイプ,噴火後の推移を予測できるまでには研究が進んでおらず,今後も研究開発の推進が望まれている.噴火現象の理解を深め,火山災害の軽減につなげるには,噴火発生前後に起こる噴火の前兆現象や噴火時に起こる諸現象を,多くの研究者が協力して,色々な計器や調査方法で調査・観測することが重要である.本年度から開始された,文部科学省補助事業の「火山機動観測実証事業」は,防災科研が中核となり全国の研究者の連携体制を構築し,火山噴火時の緊急観測の他,噴火前の火山での地下構造調査等を実施する体制の構築を目的としている.【本年度の実施内容】事業の初年度であることから,事業の運営体制を整備するとともに,噴火時に全国の研究者が共同観測を実施する際に利用する観測機材の一部とそれらを管理するシステムの整備を開始した.火山機動観測実証事業の推進

元のページ  ../index.html#91

このブックを見る