令和3年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会図2.JMA西原村小森EW波入力時の2質点モデルにおける時刻歴応答解析結果(左:絶対加速度最大値、右:層間変位最大値)図3.JMA西原村小森EW波入力時におけるエネルギーの時刻歴図1.提案する弾塑性制動装置図4.弾塑性制動装置の諸元および免震層減衰を設計変数とした最適化問題のパレート最適解(入力地震動:JMA西原村小森EW波)これまでに私が検討してきた弾塑性制動装置を備えた免震構造の解析モデルは、基盤上に建物が1棟のみ建つモデルでしたが、今後は、これを基盤上に複数の建物が建つモデルに拡張します。モデルを拡張する際、複数棟の建物と免震層を一体とする一体モデルと、免震層との相互作用を考慮しながら個々の建物を個別に解析する分離モデルが考えられます。街区免震モデルは一般的な建物モデルと比較して免震基盤の規模が非常に大きいため、入力地震動の位相差特性を考慮する必要があり、この位相差を考慮するのに分離モデルが有効であることが期待されます。地震減災実験研究部門概要日本免震構造協会が主催する「レジリエントな都市の実現構想研究会免震システム技術WG」では、都市街区全体が巨大地震後も機能を維持・継続できる街区免震システムを提案することを目的とし、実現可能なシステムの性能評価、試設計および解析検討を行っています。私はこのWGにおいて、解析検討サブWGの委員として活動しています。街区免震システムにおいては、周囲に擁壁を設けることは想定されないため、免震層の過大応答変位に対処するための装置・制動装置が必要不可欠となります。そこで、私が提案する弾塑性制動装置の街区免震システムに対する有効性を検討しています。今年度は2質点(免震基盤、上部構造1質点)モデルを用いて免震周期や質点の質量比などを仮定し、弾塑性制動装置の諸元(弾塑性ばねの剛性・耐力、初期クリアランス)をパラメータとした検討や、さらに弾塑性制動装置の諸元を最適化する最適化問題の検討を行いました。極めて厳しい熊本地震本震のJMA西原村小森EW波に対して、上部構造の最大応答加速度を1G以下、免震層の最大変位を1m以下に抑えることが出来ることを確認しました。今後の展望・方向性現在、街区免震モデルの具体的な建物および免震基盤の諸元(構造種別、規模など)が決定しつつあり、今後は具体モデルを用いて解析検討を行います。岸田明子Point■免震層の大変形を抑制する弾塑性制動装置の開発■弾塑性制動装置の街区免震システムへの適用を検討大地震から免震建物を守る

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