令和3年度成果発表会
95/158

2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2022.2.28令和3年度成果発表会【実験の⽬的】縮小模型に模擬損傷を与えた実験を⾏い,・に変化するのか屋根材の有無が,揺れ方にどのような影響を与えるのか・複数個所の地震損傷によって,揺れ方がどのように変化するかを明らかにします。縮小模型(間口5m, 桁⾏2m, 高さ2.5m)継手の添え板を外して損傷を模擬避難所建物の健全性診断手法開発に向けた実験【実験結果】実験によって,屋根によって建物が硬くなり減衰が大きくなることが分かり,また複数損傷による振動の変化を計測することができました。屋根の有無による振動周期の変化複数の損傷による振動周期の変化体育館のように内部に広い空間のある建物(大空間建築と呼ばれます)は,災害時には避難所として利用されます。大空間建築は一般的には地震に強いと考えられていますが,建物本体の被害や天井等の破損・脱落によって避難所として利用することができない事例がみられ,問題視されています。地震後の構造安全性の確認は,避難所としての利用可否判断にあたり,重要な要素の一つです。また,地震直後に避難所として利用可能かどうかの判断は,多くの場合専門家不在の状況で⾏われます。従って,少しでも疑わしい点が⾒られれば避難所としての利用を断念せざるを得ません。この研究では,地震直後でも安⼼・安全な避難所の実現を⽬指して,地震直後の専門家不在の状況でも,計測結果等の客観的な事実に基づいて,避難所建物の地震損傷を検知する技術開発を⾏っています。これまで,体育館を約1/4に縮小した模型を用いた実験を⾏ってきました。実験では,地震損傷を模擬した欠陥を縮小模型に与えて,地震損傷によって揺れ方がどのように変化するかを調べました。2020年度までの実験で,単独の地震損傷と揺れ方の変化に,明確なパターンがあることが分かっています。今後も,内外装を付けた実験や,異なる屋根の形での実験等を重ね,データと知⾒を蓄積していきます。模擬地震損傷を,実際の地震被害に近づけることや,模型のスパン数を増やしたり,さらに内外装材を取り付ける等,模型をより現実的なものに改良することが必要です。加えて,観測結果と建物の損傷を関連付ける研究も⾏っていきます。振動の周期や揺れ方を同定する手法や,建物の硬さや減衰等の物理パラメータを同定する手法の適用に加えて,別プロジェクトで開発中の高性能計算と深層学習を組み合わせた手法の適用等が考えられます。2021年度は,複数個所の地震損傷が揺れ方に与える影響や,外装材の影響を調べる実験を⾏いました(下図)。詳細な分析はこれからですが,屋根の設置により模型が固くなるとともに,減衰(揺れのおさまり易さ)が高くなることが分かりました。また,複数個所の地震損傷による揺れ方の変化も,計測により捉えることができました。さらに,実際の利用を想定するなら,できるだけ低コストで実現することも重要な課題です。できるだけ少ない数のセンサーで地震損傷を検知する為の,効果的なセンサー配置も,今後検討する必要があります。地震減災実験研究部門藤原淳概要今後の展望・方向性Point■地震後も安全に利用できる避難所を実現する■大地震後の避難所建物の安全性を即時判定■専門家不在の状況での利用可否判断をサポート避難所建物の地震被害検知

元のページ  ../index.html#95

このブックを見る