■日向灘以南でM4以上地震に先行する超低周波地震活動を調査■種子島南東沖などの海溝側で先行する活動を検出■地震・超低周波地震活動域を包含するゆっくりすべり発生か2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会図1.M4以上の地震(〇印)に先行する期間における図2.2013年の種子島沖における地震(青、黒)・超低周波地震活動(赤)。(左)空間分布、(右)時空間分布。青色のシンボルは図1の解析で使用したM4以上の地震(〇印)。超低周波地震活動の活発化(〇内のカラースケール)。通常の発生レートに対する活発化の程度(倍)懸念される南海トラフの巨大地震。固着にあると考えられているその想定震源域では、近年の地震活動は殆ど見られません。一方で、想定震源域の南西延長に位置する日向灘や南西諸島海溝沿いでは地震や超低周波地震(通常の地震よりもゆっくりとした断層すべり現象の一種)の活動が比較的活発です。地震と超低周波地震の発生域はほぼ棲み分けていることが知られていますが、規模が比較的大きな地震の前後に超低周波地震活動が発生するケースが見られることから、それらの同期発生、特に「M4以上の地震に先行する超低周波地震活動」を系統的に調べてみました。その結果、海溝・トラフ側のイベントを中心に「先行する超低周波地震活動」との対応が検出されました(図1)。また、種子島南東沖では「先行する超低周波地震活動」の際に通常の微小地震活動も活発化していることも分かりました(図2)。超低周波地震活動はエピソード的に発生し、その活動期間内に移動しながら活動することから、スロースリップイベント(数日以上の継続期間を持つゆっくりとした断層すべりの一種)に伴う現象と考えられています。「先行する超低周波地震活動」が見られる地域では、このようなスロースリップイベントが先に発生し、先行する超低周波地震や微小地震の活動を起こした後に規模が比較的大きな地震を引き起こしていると考えられます。今回明らかになったような地震・超低周波地震の同期を詳しく調べることは、空間的に棲み分けている両活動域の相互作用の理解につながります。この理解が進めば、超低周波地震活動のモニタリングによって、その周辺域で発生しうる地震について、何らかの予測が可能となるかもしれません。地震に先行するスロー地震活動地震津波火山ネットワークセンター淺野陽一
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