令和4年度成果発表会
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■2021年と2022年の福島県沖の地震の揺れの分布を比較■震源より北部では周期に依らず2022年の方が大きい■周期1秒では震源より南部で2021年の方が大きい比2.0比2.02019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会図1:2022年と2021年の福島県沖の地震の最大加速度とその比の分布図2:周期1秒と6秒の加速度応答値の2021年の地震に対する2022年の地震の比の分布1100100.1ガル1,0001.00.80.50.41.00.80.50.42022年6秒では揺れの観測された領域全域で2022年の方が大きいことが分かります。最大加速度分布のみでは比較的似て見える2つの地震ですが、比をとったり周期に着目したりすると異なる様相を示すことが分かりました。地震直後にその地震が、特に揺れの特徴の観点から、過去の被害地震や想定地震と似ているかを速やかに把握できれば、懸念される地震被害や今後の打つべき対応の迅速な推定・判断に貢献できると期待されます。そのため揺れの類似度をさらに適切に評価方法を開発し、地震発生時に自動的に評価する仕組みの構築を目指しています。周期1秒2021年周期6秒2022年/ 2021年2021年2月13日に福島県相馬市・南相馬市東方の沖合約60 kmの福島県沖でマグニチュード7.3の地震が発生し、翌2022年3月16日に2021年の地震から水平にわずか8 km離れた地点を震源としてマグニチュード7.4の地震が発生しました。地震深さはともに約55 kmで、地震のタイプも逆断層型と同じものでした。このように震源はよく似た2つの地震ですが、揺れ方は似ていたのでしょうか?図1の左と真ん中は防災科研K-NETとKiK-netで観測された加速度波形の最大値の分布図で、暖色ほど加速度が大きかったことを示します。赤い星の震源を中心として大きい領域が広がっている様子は似ていますが、より詳しく見るために図1の右に比を示します。2022年の地震が大きい領域が赤、同じくらいの領域が白、2021年の地震が大きい領域は青となります。震源より北の宮城県・山形県から北海道にかけては2022年の方が明らかに大きい一方、福島県内では同程度か2021年の方が大きい領域が見られ、それより南では2022年の方がやや大きい様子が見られます。揺れを考える上で重要な性質として周期があります。周期が短いと小刻みな揺れに、周期が長いとゆったりとした揺れに対応します。最大加速度は周期0.数秒以下の短い揺れに対応することが多いため、図2ではより長い周期での揺れの強さ(加速度応答値)の2021年の地震に対する2022年の地震の分布の比を見てみます。周期1秒では最大加速度と異なり福島県及び南部の領域の大部分で2021年の方が大きく、より長い周期6地震津波火山ネットワークセンター鈴木亘この2つの地震の揺れは似ている?

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