令和4年度成果発表会
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■現状,地盤の液状化強度は,土の材料特性を基に評価されている■「材料特性」ではなく,地盤という「構造特性」による評価を検討■国内外研究者の参加型プロジェクトで,データベース構築を目指す2019.○○.○○○○○○○○○○○○○各グループの研究内容の調整研究グループ参加研究者国内研究者国内実務者支援・助言委託共同実験・数値シミュレーション・地盤調査などの関連研究E-ディフェンス実験データの提供研究データの提供研究活動を通じて学術論文/技術検証・開発大学研究者を中心とするコアとなる国内外研究者防災科研E-ディフェンス実験国外まとめ役国外研究者国外実務者データのとりまとめ外部資金を狙うグローバルアイディアへの対応基本構想の提示提案一連の活動として外部資金を狙うWSにて意見交換外部資金世界中の研究者全体WSの開催新たな研究構想の提案新規ビジネス機会の発見構築したデータベースの公開外部資金実務者2023.2.21令和4年度成果発表会図国内外研究者参加型プロジェクト実施体制(案)2011年東北地方太平洋沖地震において観測された,継続時間の長い地震動は,近い将来に発生が予想されている東海・東南海地震でも,その発生が予想されています。現行の液状化判定法は,大きな揺れにより,急激に地盤が液状化することを想定したもので,地震で揺れている間の,地盤中の水の移動は考慮されていません。一方,比較的小さな揺れにより,ゆっくりと地盤が液状化する場合は,揺れている間の地盤中の水の移動を無視することはできません。その影響として,排水による間隙水圧上昇の抑制,間隙水の流入による水圧上昇が考えられます。例えば,排水性が高く,水が移動する速さが液状化する速さを上回る場合は,従来設計法で「液状化する」地盤でも,液状化しません。また,舗装などの不透水層の存在により,排水が阻害されると,従来の設計法では「液状化しない」密な砂や粒径の大きい礫でも間隙水圧が顕著に上昇する恐れがあります。したがいまして,複雑な条件下にある現地地盤から採取した土を用いて,理想化された条件下で実施される室内試験で得られた「材料特性」ではなく,実環境下の地盤という「構造特性」で評価することが重要です。現在,液状化後の地盤強度・剛性回復を評価するための小型模型実験や,新しい地盤調査法に関する研究を実施しています。それらの成果は,E-ディフェンス震動台実験の実験計画の策定に活用する予定です。また,大学の地盤工学系研究者を中心としたコアとなる国内外研究者からなる(仮称)研究分科会の設立に向けた準備を進めています。しかしながら,一度の実験で得られたデータだけでは,地点ごとに異なる地盤の「構造特性」を評価することはできません。今現在,E-ディフェンス大規模液状化実験をコアデータの一つとした,実験,数値解析,地盤調査,損傷度評価,地盤-基礎-建物相互作用を総合した研究計画を策定しています。そのためには,国内外の多くの研究者にご参加・ご協力いただき,得られたデータを同じステージに並べて蓄積することにより,現象の解明,評価法や対策工法の検証を進める必要があります。ワークショップ開催などを通じて,積極的な情報公開・共有を進め,より多くの研究者にご参加いただけるような環境を整えます。計画の段階からワークショップを開催して,多くの研究者が同じ課題に取り組むような体制を整えます。ご参加された研究者のデータを一つにまとめたデータベースを構築して,世界中で広く利活用していただくことにより,各研究者の成果展開を促進だけでなく,研究コミュニティーの活性化,若手研究者の研究機会の提供などが期待されます。氏名河又洋介実環境下の地盤の液状化を評価する所属地震減災実験研究部門

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