令和4年度成果発表会
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■地震被害想定調査で整備した地盤・建物データ等の活用■SVGの被害予測情報は、Webブラウザで閲覧が可能■地震時の被害予測のみならず、平時の図上訓練での活用2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会津波避難訓練でのクラウドシステム(AWS)の活用例津波避難訓練でのクラウドシステム(AWS)の活用例防災科学技術研究所は、平成19年3月より、千葉県の震度観測網と防災科学技術研究所の強震観測網K-NETの震度情報を用いて、震度分布や被害分布等を予測する「地震被害予測システムの開発に関する共同研究」を千葉県と実施している。地震被害予測システムは、千葉県の地震被害想定調査で整備された地盤データや建物データ等を有効活用しており、地震発生時の初動体制の確立に有益な情報を提供することを目的としている。また、平常時は、設定した震源から得られた震度分布等を用いて、図上訓練等に利活用できる柔軟なシステムになっている。現在の地震被害予測システムは、平成26・27年度の千葉県地震被害想定調査において整備されたデータや検討された手法が活用されており、避難者数や帰宅困難者数を推計できる機能が追加されている。千葉県内で震度4以上の有感地震が発生した際、地震被害予測システムは、千葉県の震度観測網から分岐された震度情報と防災科学技術研究所からメール送信されたK-NETの震度情報を統合し、震度分布や被害分布を250mメッシュ単位で即時的に予測している。震度分布は、地震被害想定調査で得られた250mメッシュ単位の地盤増幅データを用いて、各観測点の震度情報に基づき、工学的基盤上で空間補間して求めている。震度分布等の表示は、JIS化されたSVG(Scalable Vector Graphics)のデータ構造を採用しているため、ベクター形式の地図情報やラスタ形式の震度分布図等が扱えるとともに、観測値情報等はメタデータとして埋め込んでいる。SVGは、インターネットとの親和性が極めて高く、EdgeやChrome等のWebブラウザで表示することができる。地震被害予測システムで得られたSVGの被害予測情報は、千葉県のネットワーク経由で配信することにより、県庁内と県の関係機関(出先、市町村、消防本部等)の防災PCのWebブラウザで閲覧することが可能である。地震被害予測システムの配信は、震度分布、液状化危険度、全半壊棟数の予測をはじめ、死傷者数や避難者数の市区町村集計、駅周辺の帰宅困難者数となっている。千葉県は、地震被害予測システムと津波浸水予測システムの予測情報をインターネット経由で配信するクラウドシステム(AWS)を構築しており、地震被害予測システムで得られた震度分布、液状化危険度、全半壊棟数の予測情報や震度情報は、県職員や市町村職員等が所有するスマートフォンやタブレット等で閲覧することが可能である。千葉県は、地震や津波の発生時、市町村と予測情報を共有した初動体制が確立できるようにするため、地震被害予測システムや津波浸水予測システムを用いた訓練を市町村と実施しており、今後も千葉県の地震津波防災の取組みに協力していきたい。千葉県における地震被害予測システムマルチハザードリスク評価研究部門大井昌弘

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