■溶岩流を高時空間分解能でシミュレーション■マルチエージェントモデルによる避難シミュレーションと連携■伊豆大島全島避難を想定したケーススタディ2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会伊豆大島溶岩流ドリルマップ(噴火開始2時間後)伊豆大島山頂(御神火茶屋)から元町港・岡田港への車両避難シミュレーションの例火山ハザードシミュレーションによる被害範囲・時間・強度の想定と周辺環境への影響評価・対策の提案を進めている。火山ハザードの中でも溶岩流は流速が遅いため、比較的避難対応が可能である。溶岩流は噴出口から約1000℃で流れ出し、冷えて固まりながら地形に沿って流下する。伊豆大島では1986年に溶岩流が発生して全島避難を余儀なくされたが、すでに36年が経過しており、次の噴火が懸念されている。このため、伊豆大島をケーススタディとして過去の噴火実績、応力場、地形を考慮した205カ所の噴火口を仮定し、5mメッシュでの溶岩流ドリルマップを策定した。当所では、溶岩流のほかにも降灰・火砕流・噴石などの火山ハザードシミュレーションコードを開発している。人、インフラや資産などの脆弱性や曝露度を併せて定量的に評価することによって、事前のリスク評価・防災計画の策定、さらには緊急時におけるリアルタイム評価の具体的な提案が可能である。時々刻々変化する火山ハザード現象の観測、シミュレーションによる予測情報の提供、これらを人流や交通などと組み合わせることで、登山客の避難行動、避難小屋の配置、車両を使った大規模広域避難など、噴火に対応した最適な避難やロジスティクスの展開が可能となる。今後、DXの活用なども通して、イメージしやすく、かつ、実効性のある火山防災対策技術の提案を行っていく。避難シミュレーションは交通系シミュレータSUMO(Simulation of Urban Mobility, German Aerospace Center)を用いた。伊豆大島の山頂(御神火茶屋)から乗用車30台(2分毎に15台出発)を元町港、もしくは、岡田港に導流する設定で行った。通常、御神火茶屋から元町港へは御神火スカイラインを通行するが、溶岩流により通行不可になっている。元町港への避難完了は、御神火スカイライン通行不可の場合10分程度余計にかかること、岡田港に切り替えた場合も同程度で避難完了となることなどが見積もることができる。藤田英輔溶岩流からの避難シミュレーション火山防災研究部門
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