令和4年度成果発表会
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■地震波ノイズを用いて諏訪之瀬島の地下構造の時間変化を監視■噴火回数の増加に先行する地下構造変化を繰り返し検出■これらはマグマの蓄積と移動による傾斜変動と同期して発生2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会図1. 雑微動のCCFの相関係数の時間変化,傾斜の時間変化,噴火回数の比較。図2. 傾斜変動量と雑微動のCCFの相関係数の低下量の関係。今後は噴火回数や噴出量との比較を行い,波形相関の低下量という指標が諏訪之瀬島火山の活動度評価にどのように活用できそうかを検討していく予定です。地震記録中のノイズ部分(地震波ノイズ,雑微動)から地震計間を伝わる地震波(雑微動のCCF)を抽出し,活発な活動を続ける諏訪之瀬島火山の地下構造の時間変化を調べました。静穏期の雑微動のCCFの波形と日々の雑微動のCCFの波形の類似度を相関係数という値を計算することで定量化し,相関係数の時間変化を推定したところ,以下のようなことがわかりました。噴火回数の増加に2週間から数日先行して相関係数の低下が始まっていたことがわかりました(図1)。相関係数の低下がなぜ生じたのかを解釈するために,島内の傾斜計の記録と比較してみると,島の地下でのマグマの蓄積と火口周辺へのマグマの移動に対応する傾斜変動と雑微動のCCFの相関係数の低下のタイミングが良く一致することがわかりました(図1)。このような傾斜変動と同期する雑微動のCCFの相関係数の低下は,解析期間中(2017年4月から2021年12月)に合計13回生じていたことがわかりました。図2は雑微動のCCFの相関係数の低下量と傾斜変動量を比較したものです。両者の間に正の相関があることがわかります。このことは,マグマの蓄積量が多い場合には雑微動のCCFの相関係数の低下量が大きくなることを示唆しています。今回の研究は,雑微動のCCFの相関係数と傾斜の間に高い相関があることを初めて示した研究です。雑微動のCCFの相関係数の低下量が火山地下でのマグマ蓄積量の指標として活用できる可能性があることを示唆しています。諏訪之瀬島の噴火回数増加前に捉えられた地下構造変化所属名火山研究推進センター氏名廣瀬郁

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