■過去の気象災害情報を収集・利用する■現在の気象予測の不確実性を理解する■将来の気象災害の予測情報につなげる2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会2019年台風第15号の雨量分布(左図)、全壊・半壊・一部損壊件数(中図)、床上・床下浸水件数(右図)。2019年台風第15号と類似し経路の過去の台風(2001年台風第15号)の雨量分布(左図)、全壊・半壊・一部損壊件数(中図)、床上・床下浸水件数(右図)。2019年台風第15号と類似し経路の過去の台風(1986年台風第15号)の雨量分布(左図)、全壊・半壊・一部損壊件数(中図)、床上・床下浸水件数(右図)。2013年8月秋田・岩手豪雨時の積算雨量(左図)と床上・床下浸水件数(右図)。近年これまで経験したことがないような甚大な災害をもたらす集中豪雨・豪雪等が多発している。気象予測の精度は着実に進展しているが、予測される雨量情報等には依然として不確実性(誤差)が存在する。このため、より一層の予測精度向上は災害の軽減に資する重要課題である。最新の気象モデルによる台風の進路予測の精度は年々向上している。しかし、数日先の雨量や災害自体を直接予測することは困難である。過去の事例を活用して気象予測の結果から想定される状況も情報として提供できれば、気象災害への備えに役立つと考えられる。そこで、過去の台風の災害情報を集約する台風災害データベースの構築を進めるとともに,気象モデルで予想された台風経路と類似した過去の台風における雨量情報に加えて床上・床下浸水件数や一部損壊件数などの被害情報も合わせてを提供する試みを実施している。一例として、令和元年房総半島台風(2019年台風第15号)の経路に類似した台風の情報を左に示している。また、比較的短時間の集中豪雨や低気圧などの気象現象にも拡張させるため、以下の平成25年秋田・岩手豪雨災害など様々な豪雨イベント情報のデータ整備を現在進めている。様々な災害情報のデータが蓄積していけば、気象モデルによる雨量情報に加えて被害規模の推定情報の提供が可能になることが期待される。一方で、現在の気象モデルで予報される豪雨などの強さ、発生地域などには依然として大きな不確実性(誤差)があり、それらをもたらす要因に関する知見を深める研究も推進する必要がある。そのような予測精度向上に繋がる基礎研究も合わせて行えば、気象災害の軽減につながることが期待される。水・土砂防災研究部門飯塚聡気象災害の軽減を目指した研究
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