(AITCC)2019.○○.○○○○○○○○○○○○○図の出典:気象庁図の出典:気象庁HP図の出典:気象庁図の出典:気象庁HP2023.2.21令和4年度成果発表会選択的同化手法同化×積乱雲の自動追跡高精度予測図(上)研究成果の概要、(中)新予測が開く未来、(下)雲と雨が共存する場合の課題と解決策「ゲリラ豪雨」とも呼ばれる局地的大雨は河川の急な増水や道路の浸水などを通じて時には人的被害をもたらすため、その予測手法の開発は重要である。本研究では、従来の予測手法では困難であった、雨が降る前の段階から「ゲリラ豪雨」を予測する手法を開発している。2018年の特別観測において、防災科研が首都圏に設置した3台の雲レーダー(Kaバンドレーダー)を用いて、積乱雲の3次元構造を高頻度(1分毎)で捉えることに成功した。この雲レーダーで得られた雨が降る前の雲粒の情報を、データ同化と呼ばれる手法で気象予測モデル(数値予測)に取り込み、予測の初期値を修正した(雲領域を加湿)。その結果、雨が降る前の段階から、20分後の局地的大雨を予測しうることを世界で初めて示した(図上段;Katoetal.2022,WeatherandForecasting)。本年度は、本手法の課題の抽出を行った。大きな問題点として、衰弱期の雨雲が同化されることで、偽の雨が予測されてしまうことが明らかになった(図下段)。このような雲と雨が共存する場合の課題を解決するためには、雲レーダーによる観測で得られた雨雲を自動的に追跡し、発達中の雲のみを選択的に同化して、予測を行うことが有効であると考えられる。そこで、これまで防災科研で開発してきた積乱雲の自動追跡技術(AITCC)と雲レーダー同化手法を組み合わせた「選択的同化」手法の開発を今後進めていきたいと考えている。本手法を高度化することで、従来手法では困難であった雨が降る前からの「ゲリラ豪雨」予測が可能となる。現状ではリードタイムは20分程度と短いものの、予測結果に基づき豪雨の危険性を野外の危険な場所で活動している人へ伝えることで、その方が安全な場所へ避難(安全確保)することは十分に可能である(図中段)。今後は積乱雲の自動追跡技術と雲レーダー同化を組み合わせた「選択的同化」手法の開発など、本手法の実用化に向けた予測精度向上に資する研究開発を進めていきたい。水・土砂防災研究部門加藤亮平■雲レーダー同化により「ゲリラ豪雨」を予測する手法を開発■雨が降る前から、20分後の局地的大雨予測に成功■課題解決の鍵は積乱雲の自動追跡による「選択的同化」雲レーダー同化による「ゲリラ豪雨」予測の実現に向けて
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