令和4年度成果発表会
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2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会(a)(c)図1令和3年台風第8号経路(気象庁ベストトラック)(b)図24度上昇実験による台風経路例(a) 北部上陸、(b)中部上陸、(c)南部上陸に3例、中部に4例、南部に1例の上陸例がありました。また、4度上昇実験(6種類のSST将来変化パターンについて各15種類の分布を与えて各61年分)、では、北部に50例、中部に30例、南部に7例の上陸例がありました(例数は暫定です)。令和3年台風第8号は上陸時の気圧は994hPa程度でしたが、d4PDFでは960hPa台の台風も存在しています。図2に4度上昇実験による、北部、中部、南部に上陸した台風の経路の例を示しています。防災科研では、接近中の台風に対して、類似した経路の過去の台風として、どのような台風があったかを取りまとめた情報をホームページで公開しています。また、台風災害データベースとして、台風毎にその概要と都道府県単位の被害状況について1ページに取りまとめたデータベースと、市町村単位の被害情報も含むデータベースも公開しています。平成28年台風第10号は、気象庁が1951年に統計を開始して以来、初めての東北地方太平洋側に上陸した台風となり、令和3年台風第8号は宮城県に始めて上陸した台風となりました。このようにまれな台風は、過去の台風情報がないため、例えば令和3年台風第8号と類似した経路の過去の台風ページでは岩手県や千葉県に上陸した台風を示しています。「地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベースdatabase for Policy Decision making for Future climate change(d4PDF)」(Mizuta et al., 2017)では、高解像度全球気候モデルと高解像度領域気候モデルを用いて、多数のアンサンブル実験を行うことで、まれにしか発生しない極端な気象現象を議論することができます。令和3年台風第8号(図1)は、宮城県北部に上陸しました。高解像度領域気候モデルの過去実験(1951年から60年分、各年50メンバ)では、北部これまで経験のない経路を持つ台風についても、気候モデルによって再現された経路や雨量分布の情報を利用することで、接近中の台風に関する参考情報として示すことができるようになります。東北地方各県について過去実験や温暖化実験における台風の状況やその変化などについて調べていきたいと考えております。■東北地方太平洋側から上陸する台風は、1951年以来見られなかったが、平成28年台風第10号が岩手県に上陸、令和3年台風第8号が宮城県に上陸している。■経路のまれな台風について調べるため、多数のアンサンブル実験を行ったd4PDFの過去実験と温暖化実験を用いる。宮城県に上陸する台風所属名水・土砂防災研究部門氏名栢原孝浩

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