■SIPで開発した2時間先雨量予測システムを民間クラウド環境へ移植■全国展開を可能とする技術開発(気象庁や国交省の観測データを利用)■半日先予測の連動した運用方法により運用コストの低減を実現2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会第2期SIP国家レジリエンス(防災・減災)の強化では,防災科研が代表機関を務めるテーマ5「線状降水帯観測予測システム開発」において、2時間以内に線状降水帯の発生場所を特定する予測技術を研究開発し,令和2年7月豪雨等で有効性を実証してきました.線状降水帯の脅威が増大する現在,気象庁への導入という社会実装の前倒しが必要だと考え, 民間気象会社に導入することで,特定地域に限定されるものの,予測技術の社会実装が加速されます.なお,予測技術の鍵は気象の大規模数値解析であります.民間クラウドコンピュータを想定し,予測技術の性能とコストの評価とビジネスモデルの立案を行い,民間気象会社への技術移植を目指してきました.地域の気象観測情報を収集・データ同化する機能を開発し,全国でのデータ同化技術の利用を可能とする技術開発を進め,同時に運用コストを削減する取り組みを進めてきました.民間クラウドコンピューティング環境として、Amazon Web Service(AWS)を選択し、2時間先予測の実施を可能とする開発を進めた(以後、AWS予測システム). 半日前予測において, 線状降水帯が発生しないと予測し, 実際に発生しない割合は99.3%と非常に高く, 半日先予測で線状降水帯の発生が無いと予測されれば, 計算を行わない高度化を実現しました. 必要な時にだけ予測計算を実施することで50%程度のコスト削減を実現しました. 今年度は九州地方以外で多くの線状降水帯が発生しました.AWS予測システムを活用して,全国で線状降水帯の発生が見込まれる地域を選定し(図の赤い四角領域)、雨量予測計算を実施し、数十年に一度の大雨を高精度に予測することができました. 今後は民間気象会社と連携し、本技術の社会実装を推進していきます.図全国での線状降水帯の発生頻度分布(Hirockawa et al., 2020 JMSJ)と2022年度に線状降水帯が発生した地域.防災科研の「大雨の稀さ情報」では50年に1度の大雨が観測されており,AWS予測システムも同様の位置に大雨を予測できた.線状降水帯の雨量予測システムの社会実装に向けた取組所属名水・土砂防災研究部門氏名清水慎吾
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