■防災科研の運営する気象リポートシステム「ふるリポ!」に“ろうと雲”■その“ろうと雲”を発生させた積乱雲をレーダーが捉えた。2019.○○.○○○○○○○○○○○○○降水強度2023.2.21令和4年度成果発表会805030201051mm/hふるリポ!に投稿された“ろうと雲”の写真MP-PAWR(マルチパラメータフェーズドアレイ気象レーダー)の観測結果から解析された、18時35分における雨の強さ(データは国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)提供、作図は防災科研の前坂剛)日本でもしばしば被害をもたらす突風現象である竜巻は、その水平規模が100 m 程度と小さく、寿命も長くて30分程度であるので、その予測はもちろん、その存在を網羅的にとらえることはできていない。被害が生じたり、人が目撃したものだけが、発生した竜巻として把握されている。防災科研が運営する気象リポートシステムである「ふるリポ!」には、天気の状況に加えて、雲や空の写真が一般の方から投稿されるが、それを気象レーダーの観測結果と照らし合わせることで、気象レーダーの観測結果の検証や解釈に役立てることを目指している。2022年5月21日の夕方、千葉県北部で目撃された“ろうと雲”の写真が投稿された。およその位置がわかるので、気象レーダーの観測結果と照らし合わせることで、その“ろうと雲”を発生させた積乱雲の様子を調べた。このような積乱雲がもたらす現象について、レーダー観測の結果と検証し、突風の検知能力の向上や注意喚起につなげていく。下の降水強度の水平分布は、さいたま市でNICT が運用しているMP-PAWR(マルチパラメータフェーズドアレイ気象レーダー)の観測結果から解析された、18時35分における雨の強さである。△の印が、ろうと雲があると推測される位置である。竜巻は積乱雲が発生させることがよく知られているが、ろうと雲の北側に積乱雲がもたらす雨域が広がっていることがわかる。積乱雲は南東から北西に発達と衰弱を繰り返しながら進んでいたが、ろうと雲が見られた付近で進路をやや西向きに変えていた。また、他にも積乱雲がいくつか見られ、南西から北東の方向に並んでいた。の写真が投稿された。鈴木真一目撃された“ろうと雲”とレーダー観測水・土砂防災研究部門
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