■吹雪・暴風雪は、視程障害や吹きだまりの要因となる危険な現象■吹雪を予測するシステムの実証実験を実施■「いつ」、「どこで」、「どのぐらいの強さ」で吹雪が発生するかを推定2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会図1吹雪時における視程障害、吹きだまりの様子。図3吹雪予測システムによる予測結果と実測値との比較例。風向、風速、気温は気象モデル(MSM)と実測値(AMeDAS)との比較、視程はMSMの気象要素予測値に基づき吹雪予測モデルから得られた結果。図2吹雪予測システムの全体像。吹雪や暴風雪は、雪国において深刻な交通障害を引き起こすなど、大変危険な現象です。特に、吹雪で視界が遮られる視程障害は多重衝突事故の原因となったり、吹雪による吹きだまりは車両の立ち往生を引き起こします(図1)。吹雪災害軽減を目的として,雪氷防災研究部門では、気象庁の気象モデル(JMA-MSM)の予測結果に、独自に開発した吹雪予測モデルを組み合わせることで、空間解像度5km以下で吹雪の強さなどを予測するシミュレーションを実現し、吹雪によって生じる視程障害の危険度などの面的分布を予測するシステムの開発に取り組んでいます(図2)。吹雪の強さは風速や気温などのほか、積もった雪の表面が固まっているかどうかも影響するため、気象予測データから雪面の状態も考慮しています。さらに瞬間的な強風の影響も考慮し、吹雪が発生した際に生じる視程障害の危険度を予測します。これまで、新潟県や山形県、北海道道東地方などを対象に実証実験を実施してきており、「いつ」、「どこで」、「どのぐらいの強さ」で吹雪が発生しているか、定性的な評価が可能であることを確認しているものの、対象地域によっては地形の影響等を十分解像できていないことによる予測精度の低下が生じるなど課題もあります。このようなシステムを活用することで、防災担当者が吹雪災害対策を講じる場合などにおいて有用であるほか、道路のパトロール体制についても無駄な待機時間を減らすなど効率的な体制構築が可能となります。ただしそのためには、局所性が高い吹雪現象について十分な予測精度が得られるよう、地形モデルの高度化や気象要素予測の高解像度化などが必要です。今後はこうした課題解決のためのシステム高度化を推進します。可能。ただし高解像度化を含めた高度化が必要吹雪予測システムの高度化に向けて雪氷防災研究部門根本征樹
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