令和4年度成果発表会
169/210

2019.○○.○○○○○○○○○○○○○2023.2.21令和4年度成果発表会■緑: 100kg以下■黃: 300kg以上■赤: 700kg以上雪おろシグナルで表す積の重さのイメージと雪おろシグナルのアクセス傾向。少雪年と大雪年とで10倍のアクセスの差がある。地域別には新潟県からのアクセスが大半の一方で首都圏からのアクセスも多い。冬期別のアクセス数県別アクセス割合多量の雪が家屋の屋根に積もったときに、雪下ろしをしないと倒壊の恐れがある一方で、雪下ろしは滑落のリスクがある危険な作業でもあるため、実施するかどうか正しい判断が必要になります。雪おろシグナルはその判断材料に使ってもらうために開発した、雪の重さの情報を発信するシステムで、今冬で6冬季目となります。新潟県で始めた雪おろシグナルは5年の間に徐々に拡大を進め、今冬には北海道、東北、北陸の雪国地域をカバーする予定です。雪おろシグナルは、大雪のときにアクセスが増える傾向がはっきりと現れており、記録的に雪が少なかった2020年においては一冬で1万程度だったのに対し、新潟で大雪となった翌2021年では10倍の10万のアクセスがありました。2021年1月には新潟県上越市で1日の積雪量が160センチという記録的な大雪となりましたが、このときは連日5000件近くのアクセスが見られました。この時期における雪おろシグナルでは、大雪前は比較的安全な黄緑だった一方で、3日間で黄色を通り越して赤の手前のオレンジにまで達しました。そしてその後に数件の空き家の倒壊が見られました。このことから、古い空き家のように構造的に弱い家屋ではオレンジの段階でも倒壊リスクがあること、また大雪が予報されている屋根雪の問題は家屋倒壊や雪下ろし作業中における滑落だけでなく、屋根からの落雪事故等の問題もあります。落雪は融雪や積雪期の降雨などにより屋根と雪の間に水が入り滑りやすくなると起こりやすくなります。雪おろシグナルで積雪重量の計算に用いている積雪変質モデルは、雪の重さだけでなく、雪の中での水の移動など、複雑な現象も計算しています。雪の中で移動する水の情報も含めたシミュレーションの結果と、実際に落雪事故等が起きた情報を照らし合わせることで、雪おろシグナルのシステムから得られる情報を落雪リスクに関する情報につなぐことを今後目指していきます。また、ユーザーの方々からの声も取り入れながら、今後の改良等に役立てていきたいと考えております。時は黄緑でも注意が必要であることから、現在はそれらを反映して黄緑やオレンジに注意書きを加えております。利用者からは、首都圏に住んでいる方が遠隔地の実家の積雪状況を見るために使っている、また広域的な雪の情報を見るのに使っている等の声が得られています。また、北海道では必要以上に雪下ろしを行うことで事故が起きているケースもあり、不要な雪下ろしをしないための情報としても使われていることがわかりました。所属名雪氷防災研究部門氏名平島寛行■雪下ろしの判断材料のために開発した雪おろシグナル■大雪時には多くのアクセスがあり、また課題も提起された■空き家管理や遠隔地の積雪情報確認にも使われている雪おろシグナル5年の運用でわかったこと

元のページ  ../index.html#169

このブックを見る